利己的は何が悪い?意味と対義語、自己中との違い

2023.06.13 Tue
シンくん
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ライター
執筆 吉岡 真理
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利己的は何が悪い?意味と対義語、自己中との違い

利己的ってわがままとか欲深いとか、わるい意味で使われることが多いよね。

でも、実は利己的にも「いい利己的」と「わるい利己的」があるんだ。
今回はそれぞれの特徴や、いい利己的な人になるためのコツを紹介していくよ。

利己的に対するイメージが少しでも変わるといいな。

なんで利己的ってネガティブな印象があるんだろう?
 

利己的とは

利己的とは「自分の利益だけを中心に考え、他人の立場などを考えないで行動するさま」(精選版 日本国語大辞典)のことだよ。例としては「自分にとってメリットがあるかないかで物事を判断する人」などだね。

英語では利己主義をエゴイズム【egoism】と訳されているよ。

利己的の対義語とは

利己的の対義語は「利他的」。利他的は「自分を犠牲にして他人の幸福・利益のために尽くすさま」(前述辞典)という意味だよ。
でも、実は昔の日本では「利他」と「利己」は地続きの意味だったんだ。

最初に利他を使ったのは平安時代の空海だと言われているよ。1。空海は単なる「利他」ではなく、「自分が幸せになると同時に、他人を幸せにするということ」という意味の、「自利利他(じりりた)」を説いたんだ。2「情けは人の為ならず」みたいな意味と似ているよね。
じゃあ、なんで利他と利己が別物になったんだろう?その始まりは西洋にあるよ。19世紀、フランスの哲学者オーギュスト・コントが利己主義の対義語として、利他主義を提唱したんだ。3
ここから日本にも、「利己と利他が対義語である」という価値観が根付いたのかもしれないね。

国や文化によって利他と利己の関係、言葉の対になるものがちがうなんて面白いよね。

身近な言葉を調べてみたら新しい発見がみつかるかも
 

利己的と自己中の違いとは

自己中とは「何事も自分を中心に考え、他人については考えが及ばないさまをいう」(デジタル大辞泉)と辞書には書いてるんだけど、利己的と自己中との最大の違いは「優先するものの違い」だよ。利己的な考えは自身のメリット(利益)を最優先に考えることに比べて、自己中な考えは自分自身を優先されることを望んでいて、そこに必ずしも利益があるわけではないんだ。

文字のイメージで良い悪いを連想している例が他にもありそうだな
 

利己的を追求すると利他的になる

いい利己的ってどんなもの?って思うよね。
今回は、有名な著書の「生物は利他的に見えて利己的である」という説や、なぜ利己的が日本で嫌われているのかを考えてみたよ。

『利己的な遺伝子』に学ぶ本当の利己的行動

イギリスの進化生物学者、動物行動学者のリチャード・ドーキンス氏は「利他的に見える生物も利己的な遺伝子が淘汰した結果」だった、ということを『利己的な遺伝子』4という著書で話しているよ。

例えばチスイコウモリは自分が他の動物の血(食料)を吸って、仲間に分け与えることがあるんだって。5一見して「利他的行動」に見えるけど、実は、そうした行動をとる種がたまたま環境に合って生存できただけなんだ。
だからチスイコウモリは、自分の利益(生存)を優先して行動した結果、偶然に利他的にもなったということだね。

遺伝子に意思はないんだけど、現代社会でも「人のお世話をする(利他)→自分がその人に好かれて嬉しい(利己)」ことはあるよね。一見して利己的な行動だとしても、それが環境に合っていれば結果的に利他的になることもあるんだ。これを今回は分かりやすく「いい利己的」な行動と表現するね。

どんな風に見えるかは環境次第なんだね
 

日本で利己的行動が嫌われる理由

もう一つ日本で利己的が好まれない理由としては、「利己的=他人の利益を阻害する行動」と認識されているからなのかもしれないよ。

日本で利己的が嫌われる理由は、そもそも農耕・定住生活によって文化を発展させた歴史もあって、日本は集団主義を重んじると言われているんだ。6自分勝手な行動は集団の利益を損ねるから嫌われるイメージがあるよね。
でも2010年、武蔵野大学の人文科学者 古家聡教授は、日本人は本来集団主義ではなく、「利己的協調主義」だと定義づけているよ。7
日本の集団主義の本質は「集団」ではなく「協調」によって得られる利益にあるのかもしれないね。

利己的協調主義を「個人の利益は追求するけど周りとはうまくやろうとすること」と解釈すると、利己主義がそうわるいものじゃないようにも見えてくるよね。

自分の利益を一番に考えると周りと上手くやるのが一番だよ
 

「いい利己的」の特徴

利益を最大化するための行動である、本来の利己的主義について考えてみよう。4つの特徴をあげてみるね。要は自分の利益を一番に考えつつ、結果的に周りの為にもなるということなんだ。

感性に嘘をつかない

こうしたいという気持ち(利益)に正直で、嬉しいとか悲しいという自分の感性に正直だよ。行動の原動力が明確だから、周囲の人に「この人についていきたい」と思わせる吸引力があるし、ムードメーカーな人も多いよ。

芸術に触れたりして、普段から感性を磨いているのかも
 

想像力が豊か

想像することが得意だと、相手の話や行動に共感することができてコミュニケーションが円滑に運ぶよ。そういった人が職場にいる場合は、作業の先にいる「ユーザー」の気持ちまで想像できて重宝されそう。誰かに何かを伝える際にも具体的な要素を伝えることができて「なにか聞くならこの人に聞きたいな」と信頼されそうだね。

なんか連絡したくなるって人いるよね
 

合理的

何が自分にとって心地よく、利益になるかをよく考えるから利益に反することを避け、結果的に合理的になるよ。無駄な時間=自分にとって不快な時間だから、余計な作業や関係は嫌いなんだね。「いい利己的」な特徴を持った人に段取りをお願いすれば、一緒に行動する人の動きもスムーズになりそうだよ。

これは無駄な時間ではなく息抜きの時間
 

意志が強い

人付き合いでも仕事でも、納得したことに対して利害が一致している場合は、すごく意欲的に取り組むよ。自分の得になることに執着する分、達成率も高いんだ。

絶対に謝恩会で盛り上がったで賞とるから
 

「わるい利己的」な特徴

次に、人に不快感を与えてしまいやすい利己的な人の特徴をあげてみるね。ここでは分かりやすくあえて「わるい」と表現するよ。
いい利己的と同じように利益に固執はしているものの、目先の利益ばかり見てしまって周りとの関係を悪化させるから、結果的に金銭や人望などの利益が半減してしまうんだ。
ひとまずここでは、わるい利己的な人も「利己的な人」と定義して説明するね。

相手を振り回す

利己的な人は、利益に囚われて視野が狭くなってしまうんだ。一生懸命すぎて周囲の人の都合や思考にまで関心が及ばないんだね。そんな人がリーダーだったら、周りの人は考えに合わせて右往左往することになってしまいそうだよ。

こちとら振り回されるのが仕事でね
 

周囲の成果を横取りしてしまう

利己的な人は目先の利益しか見ていないから、他者の成果を横取りしてトラブルになることもあるかもしれない。横取りしたことによって生じる信頼関係の破綻や評価の低下に気づかないんだね。

あのミルク、奪ってやるぜ
 

八方美人に見える

利己的な人は、人との付き合いを損得で考えているから八方美人になりやすいよ。得だと思う人と接するときは、好かれたいから耳障りの良い返答ばかりするよね。人が変わると、返答もコロコロ変わるから、「この人の本音をどれなんだろう?」「私の悪口にもうなずいて聞いているのかな」と不信感を抱かせてしまうよ。

八方美人も使いようによっては便利だよね
 

「いい利己的な人」になるコツ

周りへの影響もよくて利他的でありながら、自分の意思を通して利己的に生きるにはどうすればいいんだろう?
5つのコツを教えるね。

自分にとっての利益を考える

利益を人生のスケールで見れば生命、健康や、幸福、楽しみ、やりがい、学びなんかも自分にとっての利益になりそうだよね。

「優先したいのは趣味の時間」のようにすぐに利益を思い浮かべられる人は、どうすればそれが手に入るのかを具体的に考えながら準備を進めることがおすすめだよ。
自分にとって心地いい状況が掴みくい人には「ジャーナリング」や「自分史」がおすすめなんだ。自分の気持ちや状況を書き出すことで感じた気持ちを深めていけるし、「◯◯があると嬉しい気分になった」など自分の心の動きが把握しやすくなって、どんなことが喜びに繋がるのか明確になるよ。

まずは自分にとって何を優先したいか、利益について考えてみよう。

俺はダイビングするために金を稼ぐぜ
 

タイミング

思い立ったらすぐに行動したい気持ちも出てくるけど、相手を配慮したほうが結果的に物事がうまく運ぶことが多いから、連絡事項がある際は相手の状況を考えることをおすすめするよ。

例えば子どもがいる人に対しては、子どもが帰宅した夕方から夜にかけては忙しい人が多いから、片手間でしにくい電話ではなくメールにするといいかもしれないね。

メールをする際には「忙しいのにごめんね」や電話の場合には「今から◯分くらい大丈夫かな?」など一言添えると、相手にも「好印象」を与えられるから話を聞いてもらいやすいよ。

朝は包帯巻き直すのでスマホ見れません
 

理由を添える

何かを頼むとき理由を添えると、受け入れてもらえる率が格段に上がる「カチッサー効果」という心理効果があるよ。

心理学者のエレン・ランガー氏の『コピー機の実験』によると、並んでいる列の先頭の人にコピーの割り込みを頼む際、①理由を言わずに頼む場合と、②明確な理由を添えて頼む場合、③不明確な理由を添えて頼む場合では、①は60%の承諾率だったのに比べて②と③は90%以上だったんだって。

「急いでいるので」「◯◯時までに仕上げる必要があって一人ではできなくて」などの明確な理由を提示するのがベストだけど、内容よりも一言添えることに意味があるんだね。

今日は腰が痛いからランドセル持って
 

褒める

自分の話を持ちかける前に、相手を褒めたり労ったりすることもおすすめだよ。

例えば、「いつも本当にありがとう。〇〇ちゃんに〇〇してもらったことがすごく嬉しかったし支えてもらったよ」や「毎日お仕事大変だと思うけど、本当にお疲れ様」など、状況や出来事を労ったり褒めることで相手に好意として伝わりやすいよ。

そうすることで、相手は「自分のことを大切に思ってくれている」と伝わり、力になってあげたいと思うきっかけにもなるんだ。

え。いつもありがとうって?じゃあ今夜はあなたの好きな筑前煮を作ります
 

傾聴

傾聴とは「耳を傾けて、熱心に聞くこと」で、カウンセリングなどでも使われるよ。でもいつも熱心に聞く必要はなくて、まずは自分の意見より先に相手の話を聞くだけでいいんだ。

相手に先に喋ってもらうだけで「優先された」と思ってもらうことが出来るからおすすめだよ。

それに、自分の利益の為への新たな勝ち筋を相手が話してくれる場合もあるし、どちらにころんでも得があるんだね。
傾聴についておすすめの記事もあるから読んでみてね。

積極的「傾聴」の使い方とは?意味と注意すべきテクニック

傾聴はコニュニケーションの様々なところで役立つよ
 

「利己的」まとめ

今回はわかりやすいように「いい・わるい」を分けてしまったけど、本来語句の意味を「いい・わるい」で分けるのは難しいんだ。でも、わるいイメージの強い「利己的」のなかに、少しでも「いい」イメージを持ってくれたら嬉しいな。
自分の利益を優先すると聞くと、なんだか欲深いようなイメージに繋がるけど、自分にとって何が利益かは人によってそれぞれだよね。「金銭」や「成果」だけじゃなくて「健康」や「喜び」、「楽しみ」が自分にとっての「利益」だとすれば、それはとっても人間的と言えるんじゃないかな。

イギリスの首相であったウィンストン・チャーチルは「何が本当に自分の利益であるかを知ることは容易ではない」8と語っているよ。

多くの人が利己的に、自分の追い求める利益を得られたうえで周りと上手く付き合えたら、より心地よく生きられそうだよね。

自分の心と体の利益を得るために行動することは悪いことじゃないんだ
 

 

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