ストレスでやけ食いしたくなる心理と対処法

2021.11.17 Wed
シンくん
案内人 シンくん
ライター
執筆 小野寺 リヒト 臨床心理士/公認心理師
やけ食いの対処法
ストレスでやけ食いしたくなる心理と対処法

「脂質、糖質たっぷりの甘い物とか脂っこい物は食べないように」しなきゃいけないも知っているけど、食べちゃうのはそういうものばかり。

そしてそのたびに「自分ってダメだ」って思ってしまうよね。けど、過食にはちゃんと理由があるんだ。

なぜ「やけ食い」を繰り返してしまうのかを心理学的に解説していくよ。

自分を責めなくていいんだよ
 

やけ食いの症状の例

やけ食いと、ただの「食べ過ぎ」はどこが違うのかな?

やけ食いの症状の例

  • 食べることが楽しみではなく、苦しさが伴う
  • 食べた後に強く後悔する
  • 食べるスピードがいつもと比べて速い
  • 食べた後に疲れる
  • 食べた物を吐き出したい(もしくは実際に吐き出す)
  • 食べる量がいつも食べる量よりも多い
  • 普段は我慢しているカロリーが高い物を食べがち
  • 決まった食事時間とは異なる時間に食べる
  • 必ずしもお腹が空いていないいないときでも食べる

上記の特徴があると「やけ食い」と言われる食べ方になるよ。

ただの食べ過ぎとはずいぶんと違うんだ。

僕の場合はどっちかな?
 

やけ食いはなぜ起きる?

次はどうしてやけ食いが起きてしまうのか、そのメカニズムについてみていこう。

モヤモヤしたストレスがあるとき

やけ食いをしたくなるときには、間違いなく「ストレスがある」と考えていいよ。

「そんなの当たり前でしょ?」と思ったかもしれないね。

でも、やけ食いをする前のストレスは「モヤモヤしたもの」であることが特徴なんだ。

実は、やけ食いをしやすい人は自分の気持ちを言語化することが苦手な傾向があることが知られているよ。

だから「なんとなくツライ」ということはわかっても、どうしてツライのかいまいちわかっていないことも多いんだ。これが「モヤモヤしたもの」と言った理由だよ。

気持ちを具体的に言語化することができれば、「●●されて悲しい。次からは××してほしい」みたいなことが言えるよ。言えればそこでストレスは解消するかもしれないよね。

でもこれができないと、ストレスがたまり続ける原因になるんだ。

なんでやけ食いしちゃうんだろう…何もわからない…
 

交感神経を鎮めるため

ストレスって、とっても不快なものだよね。

だから、ストレスがたまり続けると、身体と心が「何とかしないと」って一生懸命に働きだすんだ。専門的には「闘争か逃走反応」と言うよ。

闘争か逃走反応が起きると、交感神経が活発になるんだ。

ストレスの原因がはっきりしていれば、それと戦うか、逃げればいいよね?

けど、さっき言ったように、ストレスが「モヤモヤ」した正体が漠然としたものだとそうはいかない。何と戦えばいいか、何から逃げればいいかわからないんだ。
こんなとき、手っ取り早く不快感を解消し、交感神経をなだめるための方法が「やけ食い」なんだ。

食べると幸せホルモンがでる

どうして「やけ食い」が不快感を解消したり、交感神経をなだめるのだろうと不思議に思ったかな?

実は、人は何かを食べるとセロトニンやドーパミン、いわゆる「幸せホルモン」が分泌するからなんだ。

好きな人ができたら食事に誘いたいって思ったことないかな? それは相手に幸せになってもらいたいと、知らないうちに思っていたからかもしれないね。

この「幸せホルモン」は甘いものや揚げ物などを食べるとたくさん出ることが知られているよ。

「脂質、糖質はよくない!」と言われるのに食べちゃうのは、たくさん「幸せホルモン」が出るからだったんだね。

でも「本当の原因」は解決していない

「やけ食い」をしてめでたしめでたし…とはならないよね。

確かにやけ食いをしたら「幸せホルモン」のおかげで、いったんは不快感が鎮まるよ。でも、すぐにまた「食べたい」と思うこともあるよね?

それは、やけ食いしたくなった理由である、「本当の原因」が未だ解決していないからなんだ。

食べ物があることが原因でもなく、まして、食べてしまう自分自身が悪いわけでもないよ。

やけ食いを止めるには、無理して食べるのを我慢したり、自分を責めたりすることじゃなくて、しっかりと「本当の原因」を明らかにすることが大事なんだ。

ストレスの本当の原因ってなんだろう?
 

モヤモヤしたストレスが起きやすいのはどういうとき?

じゃあ、「本当の原因」ってなんだろう。今度はそれを見ていくよ。
「本当の原因」として多いのは、①勉強、②習い事、③恋愛、④親との関係、⑤仕事だよ。順番にみていこう。

勉強がうまくいかない

10~20代で多いのは、勉強がうまくいかないストレスだよ。

「次のテストは80点以上取れるかな…」
「学年一位をキープできるかな…」
「あの子にだけは負けたくない」

そういった不安がストレスになるんだ。

習い事で成果が上がらない

10~20代で次に多いのが「習い事で成果が上がらない」だよ。

特に、バレエやフィギュアスケートなど、華やかさが評価される競技の成績が振るわないときにストレスを感じやすいみたい。

それと、水泳や陸上など、個人の順位やタイムが明確に判定される競技で成果が上がらないときにも同じように強いストレスを感じやすいよ。

恋がうまくいかない

もちろん、恋愛がうまくいかないときのも大きなストレスを生みやすい要因になるよ。

特に失恋は、やけ食いの原因の一つになりやすいよ。
好きですと伝えたときの返事が期待していたのと違ったら、ショックだよね…。

親とうまくいかない

親は多くの場合、もっとも身近な他者だから、いざこざが絶えなかったりすると気付いたら大きなストレスになっていることもあるよ。

親子関係で大切なのが、「今、親とどういう関係なのか」という視点。

例えば、自分のお母さんがなんでも気にかけてくれる人だとするよね。そんなお母さんなら、きっと自分が小さいときには「〇〇はもう準備できた?」と、困ることが起きないように先回りして確認してくれていたかもしれないね。小さい子にとって、そういった心配は大助かりだよね。

でも自分が大人になってからだったら、「もうちょっとは信頼してくれてもいいのに…」とイライラの原因になってしまうかもしれないんだ。

親との関係をみるときは、過去の育てられ方だけに注目するのではなく、今自分と親がどういう関係なのかに注目してみてね。

仕事がうまくいかない

20代以降になると、仕事もストレスの原因の一つになりやすいよ。

上司の指示があいまいでどうしたらいいかわからなかったり、なかなかノルマが達成できなかったりすると、強いストレスを感じるんだ。
経済的に自立できると食べ物を気兼ねなく買えてしまう、というのもやけ食いをしやすくなる要因にもなっているよ。

以上、①勉強、②習い事、③恋愛、④親との関係、⑤仕事の5つの原因を見てきたね。
けど、実はこの5つにはある一つの共通点があるんだけど、気付いたかな?

その共通点は「対人関係」だよ。

この辺は「対処法」を解説するときに必要だから、次から詳しく説明するね!

人間は大変だニャー…
 

やけ食いした後の対処法

最後に、やけ食いをした後に、どうしたらいいのかを解説していくよ。

自分を責めなくていい

大前提として、やけ食いをした自分を責めないでほしいんだ。

ここまで「ストレスがあるときにやけ食いしたくなるのは、身体と心がその不快感を取り除こうと頑張っているから」ということを説明してきたよね。

つまり、これ以上自分を不快なままにしておきたくないから、身体と心が自分を守るために起こしている現象でもあるんだ。

ちゃんと自分を守れている自分を責める必要はないんだよ。

どうしても責めちゃう人は他の記事やワークで自分を癒やしてあげてね。
 

本当の原因に気付く

自分を責める代わりに、「やけ食いをしているということは、何かしらストレスに感じていることがあるんだな」ということを考えるきっかけにしてほしいんだ。

「自分ではあまり気付いていないけど、何やらストレスがあるみたい」
「ストレスがあるのはなんとなく気付いていたけど、まだうまく解決できていないのかも」

そんなことをちょっとでもいいから考えてみてね。

①勉強、②習い事、③恋愛、④親との関係、⑤仕事。このうちのどれかで「つらいな」と感じたことはなかったかな? その日一日を振り返ってみてね。

「モヤモヤしたストレス」を「ハッキリしたストレス」に変えていこう!

「困っているから助けて」を言ってみる

①勉強、②習い事、③恋愛、④親との関係、⑤仕事の5つの原因を挙げたけど、そこには「対人関係」が関係していることが共通しているんだ。

「え?勉強や習い事も?」と思ってびっくりしたかな? けど、勉強や習い事も立派な対人関係なんだ。

勉強や習い事でストレスを感じるときって、何かにつまづいたときだよね。それらは「ここがわからないから教えてほしい」「なかなか上達しないからみてほしい」と『人に頼る』ことで解決の兆しが見えることも多いんだ。解決の兆しが見えるとストレスもそれに応じて減っていくよ。

こんな風に考えれば、勉強や習い事も立派な対人関係にまつわる問題だということもできそうだよね。

対人関係にまつわる問題がストレスになっているとき、それを解消するコツは「困っているから助けて」を言ってみること、つまり『人に頼る』ことなんだ。

例えば、なんでも「〇〇はもう準備できた?」と聞いてくる親にうんざりした気持ちがわいたときには、こんな風に言えるかもしれないね。

「いつも聞いてくれるのはありがたい反面、信頼されてない感じもしちゃうんだよね。だから、もう少し見守ってくれたら助かるな」

なかなか難しいんだけど、「言えたら言ってみよう」と心がけるだけでもまずは十分だよ!

食べる物を変える

これは余裕が生まれてきてからでいいんだけど、やけ食いするものを変えてみるのもいいと言われているよ。

人は何かを食べると「幸せホルモン」が出んだったよね。この「幸せホルモン」の代表的なものがセロトニンやドーパミンなんだけど、このホルモンを多く出す食べ物を食べるのも効果的だよ。

代表的なものでおすすめなのが、下記の食べ物になるよ。

・バナナ
・ヨーグルト
・ナッツ

頭の片隅にでも置いておいてくれると嬉しいな。

ほどけなくて困ってます。助けてください
 

やけ食い対策まとめ

やけ食いしたくなる背景には対人関係のストレスが潜んでいるんだね。

そのストレスの正体がはっきりしていない段階では、その不快感を甘いものや脂質の多いもので解消したいと感じるのは自然なことなんだ。抗えないし、自分を責めなくてもいいんだよ。

でも、少しずつ「私のストレスって何だろう?」と考えるきっかけにしてほしいんだ。
それがわかったら相談に乗ってくれそうな人とコミュニケーションを取ってみよう。

どうしても自分のストレスの正体が分からないときや、長年やけ食いが続いているときには「摂食障害」っていう病気が潜んでいる場合もあるから、心の専門家(精神科医、公認心理師、臨床心理士など)に相談することが必要かもしれないね。

いつでも僕を頼ってね
 

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