「本当はもっと違う自分だったらいいのに」
「憧れのあの人のように自分も変わりたい」
そう思うことって誰にでもあるよね。
でもなかなか上手くいかなくて、結局元の自分のままなんてことも。
「なりたい自分がわからない」人は、もしかしたら今の自分に満足している状態なのかも。だとしたら、無理して何か新しいことを始める必要は当然ないよ。
でも、もし今の自分に満足していなかったら、ステップを踏んで「なりたい自分」に近づくことが必要なんだ。なりたい自分になる方法を順番に見ていこう。
目次
なりたい自分になりたいのになれない心理とは?
「こうなりたい!」という気持ちに嘘偽りはないはずなのに、実際にはなかなか行動に移せない。移せたとしてもそれが長く続かない。
そういう時には、きっと何かしらの理由があるはずなんだ。
なりたい自分に近づくために、まずはなかなか変われない理由についてみていこう。
失敗が怖い
「なりたい自分」は言い換えれば「まだなっていない自分」。
「今の自分」にとって「まだなっていない自分」がやろうとしていることは未知への挑戦だよね。その挑戦に失敗するのが怖いのは当たり前のことで、心理学で「現状維持バイアス」として知られている傾向が関係しているよ。
現状維持バイアスとは、何か未知の経験をすることを「現状得られていた安定の損失」ととらえ、現在の状況に固執してしまう傾向のことをいうんだ。
なりたい自分になれないのは「怠け者」だからじゃない。単に失敗が怖いだけなんだ。失敗を怖いと思うのは誰でも同じなのだから、自分をあまり「怠け者」だと責めないでいてあげてね。怖がっている自分を認めてあげよう。
変化が不安
変化に対して不安を感じるのも、なかなか行動に移せない理由の一つだよ。人間には「ホメオスタシス(生体恒常性)」という、身体の機能を一定に保とうとする働きがあるんだ。
例えば、気温が暑くなっても寒くなっても人の体温は大体いつも同じだよね。これもホメオスタシスのおかげなんだ。
今、わかりやすいように身体で例えたけど、心にもホメオスタシスが働くよ。
ホメオスタシスが働くから、いつもと違う変化を起こそうとすると心が不安を感じて、「いつも通りふるまってね」と働きかけてくるんだ。それが行動へのブレーキになってしまうというわけだね。
人目が気になる
「こんな風にふるまったら周りにどう思われるだろう…」と気になったことはないかな?
例えば、コンビニで店員さんからお釣りを受け取るときに「ありがとう」と明るく返事している人を見て「自分もあんな風になりたい」と思ったとするよね。
けど、いざ自分がそうしようとすると「他のお客さんに『いい子ぶりやがって』みたいに思われないかな…」と思って、結局言えなかった…ということがあると思う。
人間は社会的動物と言われているから、どうしても他の人の目が気になってしまうものなんだ。
なりたい自分になる前の心構え
以上でみてきたように、どれだけ「なりたい自分になる!」という気持ちが強くても、そう簡単にはいかないトラップがたくさん仕掛けられているんだ。
けど、次からみていく方法を試すと、そのトラップから抜け出しやすくなるよ。まずは「心構え」からみていこう。
気分が乗るのを待たない
一つ目におさえてもらいたい心構えは、「気分が乗るのを待たない」だよ。
行動を起こすには「やる気や気合などの気分が大事だ」というイメージがあるよね。でも、心理学では、気分は人の行動を生起させる要因の一つに過ぎないんだ。一番大きい要因は、ズバリ「一歩手前の行動」をすること。
例えば、最初は面倒くさくて手につかなかった掃除や勉強でも、「ちょっとだけやるか」と思って始めてみると、キリのいいところまで終わらせられなかった、という経験があるんじゃないかな。
人間のやる気を司る脳の側坐核も、実際に行動することで活性化するよ。
「一歩手前の行動」は5秒間だけでもOK。例えば片付けなら、目の前のちり紙をごみ箱に入れることから始めてみよう。
実験だと思う
新しい行動を試すということは、その行動の先にどんなことが待っているのかわからない、ということだね。この状況に恐怖や不安を感じやすくなるのは先述した通りだよ。
けど、「どうなるかわからない」という状況で覚えておいて欲しいのが、心理学の「行動実験」という考え方だよ。行動実験とは、その名の通り、「実生活での実験」という意味。
白衣を着て、右手には謎の液体の入った試験管、左手には謎の物質が入ったビーカーを持っていたとしたら、2つを混ぜたくなるよね。これと同じで「今これをしたら、どうなるだろう?」と、実生活で考えて実践してみることを「行動実験」というんだ。勇気を出したいときは、日常でも行動実験の考え方を応用してみてね。
「ショートコント ◯◯」とつぶやく
頭の中で「ショートコント 〇〇」とつぶやく方法もあるよ。
例えば、緊張して上手く就職面接に臨めないときには、「ショートコント 面接」とつぶやくんだ。
そうすると、いい意味でどこか他人事のように取り組めるから、流れを客観的に見られるんだ。「こう言ったらどう自分は感じて、相手はどう反応するのだろう」ということが見えやすくなるよ。
「いつもの習慣」とセットにする【ワーク】
「いつもの習慣とセットにして、何か新しいことを始める」ことを考えるところから、なりたい自分に向けたスタートを切ってもいいよ。いつもやっていることにちょい足しするだけだから、そんなに難しくないかもしれないね。
例えば、「もうちょっと痩せたいな」と思っている人なら、ドライヤーで髪を乾かしているときや歯磨きのときにスクワットをするのがおすすめ。
「そのちょい足しすら忘れてやらなくなりそう…」と思った人もいるかもしれないけど、安心してね。
実は、アトキンソン(Atkinson,J.W.)の達成動機の実験では成功確率が50%の課題が、一番人はモチベーションを高く保ちやすく、行動が継続しやすくなることがわかっているんだ。だから、時々やり忘れるくらいは全く問題がないよ。
ただ、完全に忘れてしまわないために、週に1~2回程度は「何に何をちょい足ししてたっけ?」ということを思い出すようにする必要はあるかもしれないね。
ドライヤーをする際にスクワットすることに決めた人は、ドライヤー置き場の近くに「スクワット」と書いたメモを張っておくなどすると、し忘れ防止になるよ。
早速実行に移すために、下のワークで「ちょい足し行動」を書き出してみよう。
どんな習慣に、どんな行動をちょい足しする?
不安があるのは挑戦している証拠
ホメオスタシスの話をしたことを覚えているかな? いつもと違う変化を起こそうとすると心は不安を発生させるんだ。
でも、逆に言うと、不安を感じているということはホメオスタシスという均衡を破って新しいことにチャレンジしている証拠だとも言えるよね。
なりたい自分になろうと挑戦しているなんて、とっても素敵なことだよ。
なりたい自分になろうとしているときに感じる不安は「ストップ」のサインではなく「ゴー」のサインなんだ。気分に騙されないように、そのままちょっとずつ進んでいけたらいいね。
なりたい自分になる技術
最後に、なりたい自分になるための技術について解説していくよ。
ここに挙げることは練習次第で上達していくし、カウンセリングでもよく使われるくらい科学的に効果が認められたものばかりだよ。真似できそうなものから真似していってもらえたら嬉しいな。
記録を付ける
まずは、①どんなとき、②どんな行動を取っていると、③どんな気分になり、④どうなるのか、という感じで「状況」、「行動」、「気分」、「結果」とに分けて、変えていきたい行動にまつわる場面を記録してみよう。
記録を取ると、どうしてその行動を変えたいのだろう?ということがより明確になるし、客観的に状況をとらえやすくなるから、行動を変えていきやすくなるんだ。
例えば、朝起きたとき(①状況)、しばらく布団の中で会社に行きたくないと考えて(②行動)、どんどん気持ちが落ち込んでいく(③気分)。そして会社に遅刻してまた上司から怒られる(④結果)という感じだね。
こんな記録をつけると「会社に行きたくないと考えたところで、結局は行くのだし、どうせ行くなら怒られないうちに行きたいなぁ」「布団の中にいたところで、行きたくない気持ちが少なくなるわけでもないな」ということがわかるかもしれないね。
だとしたら、「布団の中にいるより、まずはカーテンを開けるだけでもやってみよう!」となるかもしれないよ。
こういった方法を、専門的には行動活性化というよ。
「増やす変化」の前に「減らす変化」を
「なりたい自分になりたい」と思うとき、多くの場合、「今の自分には足りないところがある」ということが動機になっているよ。だから、つい人は新しい行動を増やすことばかりを考えてしまうんだ。
でも、よく考えてみると、今の生活だけでもみんなすでに十分頑張っているんじゃないかな? 今以上に新しい行動を追加する余裕なんて実はないのかもしれないよ。
だとしたら、「増やす変化」をする前に、何かを「減らす変化」を試みるのはどうかな?
減らす変化をして、余裕が生まれたらその余白に新しい行動という「増やす変化」を埋めていくといったイメージだね。
人によっては、つい惰性で続けてしまっているソシャゲを辞めることが減らす変化かもしれないし、「社会人として」という意識から読んでいるビジネス書を読まないようにすることが減らす変化になるかもしれないよ。
自分にとって何が減らすものに該当するのか、記録を取りながら模索していこう。
理想の人の真似を使い分ける
最初から、無理して単一の「なりたい自分のイメージ」を作り上げる必要はないんだ。
オススメなのは、状況ごとに理想の人を使い分けること。
バンデューラ(Bandura,A)が提唱した社会的学習理論によれば、人は他者を観察し真似することによっても新しい行動を獲得できるとされているよ。理想とする人は、何も実在の人物でなくてもいいんだ。歴史上の人物でも、アニメ・漫画のキャラクターでも、会ったことがない人でもOK!
例えば、「こんな時、煉獄さんならどうするだろう?」と考えて育児をしてもいいし、「ジョブズだったらこんな風に振舞うだろう」とイメージしながらプレゼンをしてもいいんだ。男性が女性をモデルにしてもいいし、その逆だってもちろん構わないよ。
「このときはこの人の真似」「別のときはあの人の真似」と続けていくと、複数の理想の人の間に「共通点」があることが見えてくるはずだよ。 異なる人の真似をしていたとしても、誰の真似をしたいかを決めているのはいつも自分自身だからなんだ。
最初は「真似なんかしてても…」と思うかもしれないけど、続けていけばきっと本当になりたい自分に出会えるよ。
自分へのご褒美(トークンエコノミー)
ここに挙げた技術の効果をさらに高めるための補足的な技術が、自分へご褒美をあげることだよ。
自分へのご褒美のあげ方として、トークンエコノミーという方法を使うことをおすすめしたいんだ。これは認知行動療法でうつ病や不安障害の患者さんが病気を治していくために使うこともあるくらい、効果のある方法なんだよ。
トークンエコノミーとは、簡単に言うとポイントカードのようなもので、決められた数のポイントがたまったら何か商品やサービスと交換できる制度のことだよ。例えば、「10回ちょい足し行動ができたら、ハーゲンダッツを食べる」とかだね。
トークンエコノミーをやる際のコツは、事前に「何ポイントたまったら何と交換するか」を決めておくことだと言われているよ。
そうすることで「あと〇回で××ゲット♪」と気持ちが高まりやすいんだ。
みんなも、どんなときにどんな行動をちょい足しするのか、それが何回できたときに、どんなご褒美を自分にあげるのか、コメントくれたら嬉しいな。
何を自分へのご褒美にする?
「なりたい自分になる」まとめ
「なりたい自分になりたい!」という気持ちがあっても、その気持ちを行動に起こせないのには、たくさんのトラップがあるからなんだね。
このトラップを掻いくぐるには、気分に騙されないようにして、ちょっとした行動をちょっとずつ継続していくことが大事だよ。
「なりたい自分がいる」と思えている「今の自分」はとても素敵だよ。そんなありのままの自分を褒めながら、少しずつ理想に近づいていけたらもっと素敵だね。