【文脈効果】シチュエーションによって左右される現実!ふしぎな心理効果

認知心理学 2020/10/10
文脈効果
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文脈効果とは、対象とするモノの前後の文脈や状況によって、その意味合いが変わる概念のことです。

例えば、普段あまり牛乳を飲まない人でも、銭湯に行ったら飲みたくなることがありませんか?

このように、牛乳単体でみたときと、「銭湯」「湯上がり」といった情報や状況の中での牛乳とでは、牛乳の意味合いが変わります。これを「文脈効果」といいます。

今回は、文脈効果について、マーケティングで活用されている例といっしょに解説していきます!

文脈効果とは

「文脈効果(Context Effect)」とは、知覚・言語・認知・記憶における心理学の概念で、対象とするモノの前後の文脈や状況によって、その意味合いが変わることを指します。

1955年に、アメリカの認知心理学者ジェローム・ブルーナー氏が「Journal of General Psychology」で発表した論文がきっかけで世間に知られるようになりました。

人は、文法などのルールと単語の意味や知識に基づいて文章を作ります。ただ、文章を読み解く際は、文法や単語の意味だけに頼って行うわけではありません。

例えば、挿絵であったり、その文章のトピックであったり、これまで得た知識や経験だったり、これらほかの情報も手がかりにしていきながら読み進めていきます。この「手がかり」を「文脈」といいます。

このように、人は対象とするモノを知覚するとき、そのモノ以外の情報(過去の経験や知識を含む)を元に、それが何かを判断します。これが「文脈効果」の仕組みです。

文脈効果の具体例

文脈効果をより深く理解するために、ブルーナー氏が行った実験と身近な例を挙げてみます。

具体例1:「崩れたB」を使った実験

ブルーナーの実験
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ブルーナー氏は、図形や文字を瞬間的に表示させる装置を使って、同じ形でも先行して与えられた刺激によって見え方が異なることを検証しました。

まず、被験者を3つのグループに分け、先行刺激となる図形や文字を瞬間的に見せてから、「書き崩した『B』」を見てもらいました。

先行情報として、グループ1には「L、M、Y、A」というアルファベットを、グループ2には「16、17、10、12」という数字を、グループ3には「M、10、16、Y」とアルファベットと数字が混ざったものをランダムに見せました。

その結果、グループ1は「書き崩した『B』」を見て「B」と答えた人が多かったのに対し、グループ2は「13」と答えた人が多かったのです。

つまり、「書き崩して『B』」という単体を見たときと、前後にある文脈や状況(先行刺激して見せたアルファベットや数字)を合わせて見たときとでは、見え方が異なるということがわかりました。

具体例2:「かいとうしてください」

文脈効果の具体例
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見え方が変わるのは数字や図形だけではありません。同じ言葉や事柄でも、受け取る人の状況や知覚、属性によって受け取り方は変わってきます。

例えば、「かいとうしてください」という言葉。キッチンにいれば、「冷凍の食材を『解凍』してほしいんだな」と認識し、そこが試験会場で自分が受験生であれば「テストの問題を解答するんだな」と認識することができます。

マーケティングにおける文脈効果の活用例

前後の文脈や状況によって受け取り方を変えられる文脈効果は、商品やサービスの価値を高く見せることができるため、マーケティングで多く活用されています。

以下では、私たちに身近な活用例を紹介します。

活用例1:コンビニコーヒーとバリスタが淹れたコーヒー

文脈効果の活用例1
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コンビニで買うコーヒーと、純喫茶で飲むバリスタが丁寧に淹れたコーヒーとでは、同じコーヒー一杯でも商品価値が異なるように感じます。

コンビニコーヒーが一杯100円でも、バリスタが淹れたコーヒーは一杯300円や400円といった価格でも売れるのです。

活用例2:テーマパークでのフード・ドリンク

文脈効果の活用例2
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テーマパーク内のフードやドリンクでも、先程のコーヒーと同じ現象が起こります。

テーマパーク内で販売しているピザやハンバーガー、チュロス、アイスクリームなどのフードや、ジュース、ソーダ、ビールなどのドリンクは、同じものでもテーマパークの外のものより価格が高額に設定されています。

しかし、ほとんど気にせずに購入するゲストが多いでしょう。これは、テーマパークには「おやすみの日に家族や友だち、恋人と行く特別な場所(イベント)」という文脈があるからです。

活用例3:食べ物や飲み物を入れる器

文脈効果の活用例3
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商品は器によっても価値を高めることができます。

例えば、同じケーキでも紙のお皿に出してプラスチックのフォークで食べるより、ウェジウッドなど豪華なお皿に乗せて銀仕様のフォークで食べる方が、高級でおいしいケーキのように感じます。

実際は同じ味なのですが、お皿とフォークの「文脈」が、ケーキの持つ価値の印象をよくしているのです。

缶ビールをそのまま飲むよりも、よく冷やしたグラスに注いだ方がおいしく感じるのも、スーパーマーケットなどに並ぶ野菜が木箱に入っていると「産地直送」「質が高い」とイメージできるのも、同じ現象ですね。

活用例4:広告のキャッチコピー

文脈効果の活用例4
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マーケティングの1つ、広告でも文脈効果は活用されています。

例えば「北海道の大自然で育ったじゃがいも」「英国紳士を思わせる高級スーツ」「メイドインジャパンの素材のみで作ったアウター」「透き通る青い海と満点の星空を満喫できる、最高に贅沢なハワイ5日の旅」などキャッチコピーは、文脈として商品に付加価値をつけ、より顧客に響きやすくする効果があります。

活用例5:Webデザイン

文脈効果の活用例5
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最後に、文脈効果はWebデザインにも活用されています。

例えば、ジュースのパッケージには水滴がついた果物の写真や、カットされた果物の断面から果肉や果汁を見せることで、鮮度の高さを演出することができます。

また、同じ基礎化粧品を販売するサイトでも、かわいらしいデザインやピンクなど柔らかい印象の色合いで統一されていると女性向け、黒やグレーなどシャープな色合いで統一していると男性向けだと認識されやすくなります。

商品のまわりの情報(色合いやデザイン)を変えるだけで、商品が誰に向けてのものなのか、どのような印象を持っているのかが変わるのです。

文脈効果はビジネスでも日常生活でも使える

今回は、文脈効果について詳しく解説しました。

文脈効果は、使い方次第で物や事柄の印象を変えたり、価値を高めたりすることができます。

マーケティングなどビジネスシーンだけでなく、ケーキやビールを上質な器に移し替えて気分を上げるなど、普段の生活でもぜひ活用してみてくださいね。

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