心理学の「古典的条件づけ」ってなに?意外と多い身近な例

ライフハック 2020/09/07
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「どうして梅干しを見ると口の中がきゅーっとしてよだれが出るんだろう?」

「小さい頃に犬に噛まれて怖い思いをしたんだけど、今でも犬を見ると不安になる」

誰でもこんな体験をしたことがあるかと思いますが、このような経験や習慣によって後天的に条件反射を起こすことを、心理学では「古典的条件づけ」と言います。

「古典的条件づけ」と言われると、ちょっと難しく感じるかもしれませんが、実は日常にあふれているものでもあります。うまく応用すれば、自分だけのライフハックになるかもしれません。

今回は、この古典的条件づけを、世界的に有名な実験や具体例と一緒に詳しく解説していきます。

古典的条件づけとは?

「古典的条件づけ」とは、心理学における学習のひとつで、一般的にいうところの「条件反射」のことです。

例えば、熱いヤカンに触れると瞬時に手を引っ込めてしまう、といったように、本来、反射というものは生まれたときから持っているものです。

しかし、繰り返し行われる経験や訓練、習慣によって後天的に反射を起こすことができるようになります。これが「古典的条件づけ」の仕組みです。

古典的条件づけを行うと、無意識の深層心理や潜在記憶に影響を与え、体や感情に変化が表れます。

刺激に対して応答(Respondent)することから、「レスポンデント条件づけ」とも呼ばれます。この現象は、大人だけでなく赤ちゃんや、犬などの動物にも適用されます。

古典的条件づけは、1903年にロシアの生理学者イワン・パブロフの研究が理論のもとになりました。その有名な研究は以下の具体例で詳しく解説します。

古典的条件づけの具体例

普段あまり聞き慣れない「古典的条件づけ」という言葉。ですが、意外と身近なところで起こっている現象なんです。以下では、5つの具体例といっしょに、「古典的条件づけ」をわかりやすく解説します。

具体例1:パブロフの犬

1903年、イワン・パブロフは犬を対象とした古典的条件づけの実験を行いました。

犬はエサを与えられると唾液を出しますが、このよだれを垂らすという行為は生まれ持って備わっている反応で「無条件反応」と呼ばれます。そして、その反応を引き出した刺激(エサ)は、「無条件刺激」と呼ばれます。

実験の中で、犬にメトロノームの音を聞かせる、その後にエサを与える、という流れを繰り返し行いました。すると、犬はメトロノームの音を聞くだけで唾液を流すようになりました。

古典的条件づけの用語で説明すると、メトロノームの音を「条件刺激」、唾液を流すという反応を「条件反応」と呼びます。

この実験により、繰り返し行われる経験によって後天的に反射を起こすようになる、という現象「古典的条件づけ」が示されたのです。

具体例2:梅干しを見たら唾液が出る

日本人であれば、一度は食べたことがあるであろう梅干し。梅干しを口に入れると、そのすっぱさによって無意識に唾液が分泌されます。

このとき梅干しの酸味が「無条件刺激」で、唾液が出ることが「無条件反射」です。

梅干しのすっぱさを知ってる人は、梅干しを食べなくても見るだけで唾液が出ます。このとき、古典的条件づけが起きているのです。

梅干しを食べたことのない人も、梅干しを実際に食べてそのすっぱさを感じ、唾液が出るという経験を繰り返すと、実際に口に入れなくても唾液が出るようになります。

具体例3:ニコチンレスの電子タバコ

喫煙者はタバコを吸うことでニコチンを摂取します。ニコチンレスの電子タバコなど類似品にはニコチンと同じ薬理的作用は生じないはずですが、電子タバコでも普通のタバコを吸ったときの同じような反応が出ることがあります。

この理由は、同志社大学の論文によると、日常的にタバコを吸う人はニコチンという刺激と、タバコの見た目、香り、味、くわえた時の触感などの関連刺激を感じる経験を繰り返すうち、実際にニコチンが摂取されなくても、関連刺激によって普通のタバコを吸ったときと同じ反応を起こす(古典的条件づけ)ためです。

具体例4:カフェインレスのコーヒー

ニコチンレスのタバコのように、カフェインレスのコーヒーにも同じ現象が起こります。

普段コーヒーを飲む人がカフェインレスのコーヒーを飲んでも、覚醒感の向上といったカフェイン入りのコーヒーを飲んだ時と同じ反応が出ることがわかっています。

これは、コーヒーに含まれるカフェインという刺激と、コーヒーの味や香りなどの関連刺激を繰り返し経験することで、実際にカフェインが摂取されなくても関連刺激によってコーヒーを飲んだときと同じ反応が生じるようになるからです。

具体例5:犬を見るだけで恐怖を感じる

小さいころ犬に追いかけられたり、噛まれたり、飛びつかれたりといった怖い経験をした人は、犬を見ただけで恐怖や不安を抱くようになります。

古典的条件づけの用語で解説すると、犬が「条件刺激」で、犬を見ただけで生じる恐怖や不安が「条件反応」となります。実際に犬に触れていなくても、見るだけでそういった反応が出てしまうのです。

身近なところに古典的条件づけはある

今回は、「古典的条件づけ」について身近な具体例と一緒に解説しました。

ニコチンレスでもタバコを吸ったときと同じような反応を得られるように、健康のためにポジティブに働くこともあれば、犬を見ただけで不安感を抱いてしまうようにネガティブに働くこともあります。

「あれ、なんで条件反射でこんな風に感じるんだろう?」と思う出来事があれば、それは古典的条件反射かもしれません。上記の具体例を参考に、どんな経験からそうなったのか考えてみてくださいね。

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