「青い鳥症候群」って?ありのままの幸せを実感する方法

心理学 2020/09/05
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恋人ができても「もっと私に合った人がいるはず」と新たな出会いを求めたり、より自分を評価してくれる職場を求めて次々と転職したくなることは、おそらく誰しもあることです。

このように、現状に満足できず理想を追い求めてさまよう状態を、心理学では「青い鳥症候群」と言います。

今回は、青い鳥症候群の人の心理的特徴や原因、克服する方法を日常的な具体例を交えて解説します。

青い鳥症候群とは

「青い鳥症候群」とは、理想と現実のギャップに不満を感じ、理想を追い求める心理傾向を指します。

「青い鳥」という名前は、モーリスメーテルリンクの童話「青い鳥」に由来しています。内容は、木こりの兄弟チルチルとミチルは、魔法使いの老婆から「孫の病気を治すために青い鳥を探してほしい」と頼まれ旅に出ます。

旅では青い鳥は見つけられず、落胆して家に帰ると、飼っていた鳥が青いことに気が付く、というもの。

この童話では「幸せは気が付かないだけで、すぐ近くにある。それに気がつけるかどうかは自分次第」という教訓が込められています。

この教訓をもとに、1983年、精神科医の清水将之氏が「青い鳥症候群」と名付けました。以前は、青年期(20歳前半)の高学歴者に多く当てはまるとされていましたが、近年では年齢幅が広がり、高校生〜30歳前半の世代にも見られます。

「青い鳥症候群」は最近提言された比較的新しい言葉です。これは、1980年代に日本が急速に豊かになり、職業や恋人を自由に選べるようになったことが影響し、生まれた概念とされています。

また、インターネットが広く普及し、SNSで容易に他人と比べ、「こっちの方がより良いのでは?」と思える選択肢が増えたことが、青い鳥を求める人が増えた一因とされています。

青い鳥症候群の具体例

冒頭でも軽く触れましたが、青い鳥症候群の具体的な例をシーン別に紹介します。

部活・学校

「この部活じゃ自分のやりたいことができない」「この大学は低レベルだ。もっと自分に合った大学があるはずだ」と理想を追い求め、所属する場所を次々と変えてしまいます。

職場・仕事

青い鳥症候群の人は、転職を繰り返し、職が安定しないという特徴があります。

「私の能力やスキルが活かせる仕事があるに違いない」と適職を探したり、「自分は正当に評価されていない。もっと高く評価してくれる職場があるはずだ」と考え、幸せな仕事を求めて転職を繰り返します。

恋人

付き合っていくうちに相手の短所や嫌なところが見えてきて、「もっと自分にふさわしい相手がいるのでは」と考えて出会いを求めてしまったり、自分の恋人と友人の恋人のルックスや社会的立場、収入などを比較してしまいます。

また、周囲から見て好条件と思える人に出会えたとしても、欠点を見つけたら不満に感じてしまいます。仮に99%が「合格」だったとしても、残りの1%に「不満」があれば、その点ばかりに注目してしまうのです。

青い鳥症候群を持つ人の心理的傾向

青い鳥症候群になりやすい人には、いくつかの心理的傾向があります。以下では、5つのポイントを詳しく解説します。

1. 完璧主義

1つ目の心理的傾向に、完璧主義があります。仕事でも勉強でも恋愛でも、何事においても100点満点を目指してしまいます。

また、自分の思い通りにならないと、理想と現実のギャップに戸惑い、不満を感じます。自分だけではなく、他人にも完璧さを求める傾向もあります。

2. 協調性に乏しい

冒頭でも触れましたが、青い鳥症候群になる人の多くは高学歴者です。そういった人たちは、学生時代に勉強ばかり打ち込み、価値判断の基準が学業になりやすくなります。

友人や周囲の人と関わる機会が少なかった場合、他者を尊重したり、意見などを否定されたり指摘される機会も比例して少なくなります。

その結果、人間関係を円滑に築くことができず、また高学歴からプライドが高いため、他者を尊重することができません。協調性を求められる会社では、人間関係を上手に形成できないことに戸惑いを覚え、自分を認めてくれる環境を求めてしまいます。

3. 自身を過大評価する

青い鳥症候群になる心理傾向として、自分を過大評価するということも挙げられます。仕事においては、自分の能力に見合った仕事ができないと不満を覚え、「自分の能力を無駄遣いしている」と感じやすくなります。

4. 予定が埋まっていないと不安

心理的に常に「満たされること」を追い求めるため、休日などのスケジュールが埋まっていないと不安になってしまいます。疲れがあっても、経済的に厳しくても予定を埋めることを優先します。

5. コンプレックスが強い

コンプレックスが強いことも、青い鳥症候群になる心理的傾向の1つです。例えば、容姿にコンプレックスがある女性は「恋人はイケメンじゃないと!」と考えたり、お金に苦労してきた人は「お金持ちとじゃないと結婚したくない!」と考える傾向にあります。

また、親の愛情を感じられずに育ってきた人は、「誰もがうらやむような素敵な人を恋人にして、周りから祝福されたい」という欲求が強いのです。

だからこそ「もっとイケメンを」「もっとお金持ちの人を」「もっとスペックが良い人を」と理想を追いかけ続けてしまいます。

青い鳥症候群になる原因

現状に満足できず、理想を追い求め続ける「青い鳥症候群」。この症状が出るのは、生育歴や育った環境が関係しています。

1. 親からのダメ出しが多かった

青い鳥症候群になる原因として、親からのダメ出しが多かったことが挙げられます。

例えば、学校のテストで95点を取っても褒めてもらえず、あと5点取れなかったことを指摘されたり、間違えた箇所を説教される。スポーツで2位を取ると「1番を目指せ」とはっぱをかけられる。

このように、褒めることよりもダメ出しが多いと、「現状で満足してはダメなんだ」と心に禁止令ができてしまうのです。

2. 周囲に高学歴やエリートが多い環境

親や兄弟・姉妹などが高学歴の人に囲まれている場合、その人たちの上昇志向に影響されることがあります。この上昇思考が現状への不満に変わってしまい、青い鳥(理想)を追うことにつながります。

3. 転職自体が珍しくない時代

仕事に関して言えば、転職自体が珍しくない時代になったことも、原因の1つと言えます。終身雇用制度が当たり前でなくなり、近年では短いスパンで転職をする人が増えました。

その社会の変化も、仕事・職場の理想(青い鳥)を求めるようになるのに拍車をかけている可能性があります。

青い鳥症候群を克服する方法

「青い鳥症候群」を持っていると、理想がなかなか現実にならずに苦しんでしまいます。次々と交際相手を変えたり、転職を繰り返すことに自己嫌悪する人も多いでしょう。

「自分は青い鳥症候群かもしれない」と思った人は、その苦しみから抜け出すために、以下の方法を試してみてください。

1. 現状の自分を受け入れる

まず、これまでの自分を振り返りながら、現在の自分を受け入れてみます。そのためには、「自分は今、青い鳥を探している状態」ということに気がつくのが大切です。

2. 主観的な思い込みを捨てる

青い鳥症候群の人は、主観的に物事を判断することがあります。仕事内容や職場について、恋人や配偶者についてなど、自己評価だけで決定せず、周りの評価や意見を取り入れて客観的に見るようにしましょう。

3. 完璧主義を手放す

青い鳥症候群の人は、現状に満足できず100点満点を目指してしまいます。

「これではダメだ」と現状や自己を否定し、「こうでなければ」「こうあるべきだ」と追い求めても、理想が完璧に反映されることはない可能性があります。その場合、一向に心が満たされることはなく、何かしらにずっと不満を抱えてさまようことになります。

その苦しみから解放されるためには、100点でなかったとしても否定せず、今持っているものに感謝し、「今この状況をもっと良くするためには、どうしたらいいだろう?」と前向きに考えるようにしましょう。

自分ひとりでの対処が難しい場合はカウンセリングを活用しよう

「青い鳥症候群」を持つ人の心理的特徴、原因、克服する方法を解説しました。理想を追い求める苦しみから脱するには、まずは現状の自分を受け入れることから始まります。ご紹介した方法をぜひ試してみてください。

ただ、症状が重く、自分自身だけでは抜け出すのが難しい場合は、カウンセリングを活用してみるのも有効な手段です。

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