「甘えるな」の呪いはどこから? 大事なのは「甘え」と「自立」のバランス

性格 2020/09/02
Credit: depositphotos

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お、おいもさん、顔が真っ赤リン!つらそうだし、もしかして風邪引いたリン?

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ココりん〜おはよう。そうなの、熱出ちゃって38度あるんだよね。

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何やってるリン!早くお布団に戻るリン!

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そうしたいのはやまやまなんだけどね、できないんだよー。今日午前に大事な会議があってね、その資料も作り終わってないのよ…。

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え、会社に行くつもりリン?!絶対ダメリン!他の人に任せられないリンか?

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そんな甘えるようなことできないよ…。これくらい自分だけの力でなんとかしなきゃ!それにさ、一度甘えちゃうと癖になって、ダメ人間になっちゃう気がして怖いんだよね。

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それはすごく生きづらそうリンね…。おいもさん、甘えたり、頼ったりすることは決して悪いことではないリン。大事なのは「甘え」と「自立」のバランス。詳しく話すから、それを聞いてから改めて会社に行くかどうか判断してほしいリン!

心理学における「甘えること」とは

真面目で頑張りすぎる人は、会社を休むことや、業務を手伝ってもらうことに罪悪感を感じてしまう傾向があります。

「甘えるな!」という発言をいろいろな場面で聞くことがありますが、自分の中で「甘えること」=「悪いこと」と否定的なイメージで捉えていると、「甘え禁止令」を出し、自分の中で甘えたい気持ちが出るたびに、自分や周りから攻撃されているように感じてしまうのです。

心理学では、甘えることは「依存の要素」としてみますが、「依存(甘える)」も「自立」も、一概に良いもの悪いもので判断するのではなく、心の状態のひとつとして捉えます。

自立型の人は、何でもひとりでできて強いイメージがあるかもしれません。これまで禁止してきたことなので、良いものとして捉えるのは難しいでしょう。

しかし、甘えることは必ずしも悪いことではありません。むしろ、人に上手く甘える能力は、社会で活動する上で重要な能力なのです。

上手に甘えることができない原因

社会で活動する上で重要な能力であるにもかかわらず、人に甘えられない原因は何なのでしょうか。以下では2つのポイントを解説します。

1. 社会で求められていたから

人に甘えられない原因の1つは、「自己主張のあり方」。これまでの社会では、あからさまな自己主張は「はしたない」と考えられていて、相手が主張しなくても察することが求められていたことが大きく影響しています。

2. 「甘えたい」という欲求を幼少期に満たせなかったから

また、「甘える」=「悪いこと」と感じる自立型の人は、誰もが持っている「甘えたい」という欲求を、適切な時期に満たせなかったことが影響しているそうです。

例えば、両親が忙しくて子どものかまう余裕がなかったり、家庭内に手のかかる問題児がいたり、家族が不仲だったりするなどが挙げられるでしょう。

本当は「甘えたかった」「頼りたかった」「助けてほしかった」という気持ちがあったけれど、それができる環境にいなかったため、子どもなりに周りに遠慮して我慢していたことが原因だと考えられます。

「甘える」=「悪」ではない。その理由とは

「甘えることは一概に悪いことではない」という理由を、オーストリアの精神科医ハインツ・コフートの自己心理学を参考に解説していきます。

コフートによると、人間は誰しもいつも完璧に「精神的に自立」できるわけではありません。誰だって自分がかわいい(自己愛)し、誰かに頼らずに生きている人などいない、としています。

人は孤独を感じれば感じるほど、心がダウンして不安定になりやすい傾向にあります。自分が自分であるために、「相手にわかってもらいたい」「認めてもらいたい」「受け入れてもらいたい」という欲求を、誰しもが持っているからです。

人は、相手の存在があるからこそ、自分という存在を確認することができて、自分を保つことができます。つまり、生きている限り、甘える(依存する)相手がいるからこそ、心は安定するのです。

コフートはさらに、『本当に強い人とは「ひとりで何でもできる自立した人」ではなく、「自分は弱い。ひとりでは生きていけない。だから頼れる人をたくさん作ろう」と考え、その方法を学び、実践している人のことを指す』としています。

「1人でも生きていける」を目指すのではなく、「上手く人に頼ることができる」「誰に頼ればいいのか見極められる」人を目指すことで心を健全に保ちつつ、社会で活動することができるのです。

大事なのは「甘え(依存)」と「自立」のバランス

しかし、甘える(依存)ばかりではなく、もちろん自立した部分も必要です。大事なのは「依存」と「自立」のバランス。

依存側に偏りすぎていれば、自分以外の誰かや何かに頼ったり、寄りかかったりし過ぎている状態になってしまいます。一切の主導権を自分以外に明け渡しているため、自分以外の何かに変化や成果を求めがちになり、振り回されてしまいます。

一方、自立側に偏りすぎていれば、自分で何でもできる状態ですが、自分を律しし続け、ひとりで頑張りすぎて燃え尽きることもあるでしょう。

いずれにしても、「甘え(依存)」と「自立」のバランスが崩れていることが問題を作り、生きづらさを生んでいるのです。

甘え下手による生きづらさを軽減する方法

つまり、「甘え(依存)」と「自立」のバランスを整えることで、甘え下手による生きづらさを軽減することができます。

例えば、忙しくて手が足りない時は、手伝いをお願いする、疲れていたり体調が悪かったりしたら休みを取る、悲しかったり寂しかったりするときは助けを求める、など対極の「甘え(依存)」の要素を取り入れてみましょう。

そうすることで、自分のことは自分でやり、できないことは人にお願いするという「相互依存」の関係をつくることができます。

頼り頼られる関係を築ければ、生きづらさは軽減する

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たしかに、完全に自立してひとりで生きていくなんて無理だよね。頼り、頼られる関係の方が良いよね。

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そうリンね。そのほうが生きづらさは軽減すると思うリン。ところで、会社はどうするリン?

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んー…迷ったけど、今日は休んで、一緒に企画進めてきた同僚に引き継ぎお願いしてみる! 自分の意地通して会社に行って、風邪が他の人にうつったら大変だしね。今回お願いする分、同僚が体調崩したらサポート入れるようにするよ!

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それが良いリン! しっかり休んで、早くよくなってリン。

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