なりたい自分になる心理学的方法「ロールプレイング」「失敗の捉え方を見る」
ココりん…私さ、自分のことがよくわからなくなっちゃった…。基本的にネガティブ思考なんだけど、人前だと明るく元気なキャラになるの。
ふむふむ。
明るく元気なときの自分は好きなんだけど、すごく疲れるの。で、普段の内気な自分は楽だけど嫌い。私の性格ってなんなんだろう…。本当の私はどれなんだろう…。
人間の内面は複雑だから、一面だけでは判断するのはなかなか難しいリンね。自分が一番自分のことをわかっているようで、人から見た自分は違う場合もあるリン。
まさにそれなの。私が認識してる自分と、まわりの人が認識している私が全然違うんだよね…。あぁぁああもうわけわかんない!
落ち着くリン。そうだ、おいもさんに自分の内面を知るためのヒントと、なりたい自分になる方法を教えてあげるリン。
自分の内面を知るためのヒント
自分の内面を効率よく知るにはどうすれば良いのでしょうか?
以下では、自分の内面を知るためのヒントをいくつかご紹介します。
失敗の捉え方
失敗をどう捉えるかによって、性格を3つに分類するという考え方があります。
例えば、職場の同僚と一緒に取り組んでいるプロジェクトでミスが発覚したとします。その時に、「私の責任だ」「私のちからが足りなかったからだ」と自分を責めてしまう人は「自罰的」な性格と言えます。
2つ目は「あの人が指示を間違えたからミスが起きたんだ」「私に責任はない」と人のせいにして済ませる人は「他罰的」な性格。人のせいにするので、場の雰囲気が悪くなったり、チームワークを乱すことがあります。
3つ目は、「運が悪かった」「失敗は避けようがなかった」と誰のせいにもしないで、偶然の出来事としてみなす人は「無罰的」な性格と言えます。自分も人も責めないので反省がなく、ストレスは感じにくいでしょう。
普通、ミスの責任は負いたくないと思うものなので、「他罰的」もしくは「無罰的」に分類されます。しかし、「自罰的」な性格な人は、自分を精神的に責めることで楽になろうとします。
必要以上に自分を責めてばかりいると、「なんて自分はダメなんだ」「生きていても仕方がない」と考えるようになります。自罰的な人は、うつ病発症のリスクが高まってしまうので、注意が必要です。
ユングの性格分類
自分の性格を知るための2つ目のヒントは、ユングの性格分類です。スイスの分析心理学者ユングは、オーストリアの精神分析医フロイトが示したリビドーの考え方を用いて、人の性格を分析しました。
リビドーとは、精神分析の用語で「性的エネルギー」を指し、幼児期から成長とともに発達するものです。「心の方向」と言った方が理解しやすいかもしれません。
このリビドーが、自分の外に向いている人を「外向型」、自分の内側に向いている人を「内向型」と分類しました。
外向型の人の特徴は何事にも積極的で、周囲の意見もよく聞きます。そのため、周囲の言動に左右されやすかったり、トラブルや悩みに強いという弱点もあります。
内向型の人は、自分ひとりで決断し、一度決めると最後までやり抜く特徴があります。弱点としては、自分をアピールするのが苦手、人見知り、周囲の人とうちとけられない、といった点が挙げられます。
ユングは、2つの心の方向(外向型・内向型)は、それぞれ4つの心の機能(思考型・直感型・感覚型・感情型)の組み合わせて、合計8つの性格分類に分けることができるとしました。
1. 外向型ー思考型
何事も確実にこなしていくエリートタイプ。人間味に欠ける部分があります。
2. 外向型ー直感型
アイデアに富み、物事の可能性を信じ、実現に全力を注ぐタイプ。達成や挑戦良くといった強い意欲がある一方で、飽き性という一面も。
3. 外向型ー感覚型
ひとりではなく、周囲の人を巻き込んで、毎日の生活や人生を満喫するタイプ。
4. 外向型ー感情型
周囲の人や社会と積極的に関わるタイプ。周囲との調和を大事にする一方、流されやすい面もあります。
5. 内向型ー思考型
物事を本質まで深くもぐって考えるタイプ。アピールや説得が苦手で、周りに理解されにくい特徴があります。
6. 内向型ー直感型
直感が先行して行動するタイプ。内向型ー思考型と同様に周りからは理解されにくく、人によっては変人や奇人とみなされることもあります。
7.内向型ー感覚型
独自の感性を大切にするタイプ。突拍子もない言動をして周囲を驚かせることがあります。
8. 内向型ー感情型
基本的に穏やかで物静かですが、感情の起伏が激しいタイプ。自分の感情に行動が支配されやすい傾向があります。
なるほど…。性格にはいろんな分類があるのね。ユングの性格分析だと、私は完全に内向型ー感情型だな…。人前では外向型のように振る舞っていたんだと思う。そりゃ疲れるよね。
たしかに、そうかもしれないリンね。ただ、おいもさんが「外向型な人になりたい!」って意志を持って、そう振る舞っていたんじゃなくて、「外向型の方が人や社会から受け入れられる」と思って、無意識に自分を作っていたせいかもしれないリン。
耳が痛い…。ココりんの言う通りだよ。特に会社ってさ、外向型の方が仕事をスムーズに進められるし、評価も高いと思うから。外向型になるのは難しそうだけど、内気で悲観的な性格は変えたい! どうやったら変われるかな?
演技で「なりたい自分」を見つける
「本来の自分はどういう人なのか」を認識できたら、次は「なりたい自分」を描きましょう。自分自身で「絶対になるんだ!」「絶対に変わるんだ!」と心に決めることが大事です。
長年形成されてきた性格を変えるのは難しいことですが、ある程度なら修正は可能でしょう。心理療法では、ロールプレイングを行うことで心に凝り固まった認知バイアスを自覚し、柔軟性を取り戻させる試みもあります。
また、会社やグループでリーダー役を任せられたり、子どもができたりした瞬間に、責任感が芽生える人もよく耳にしますね。人間は与えられた役割であっても、演じているうちに精神面まで変化することがあるのです。
まずは自分のバイアスや欲求を浮き彫りにしてから、自分に近いと思われる理想の人物像を具体的に思い描いてください。適格な人物像を演じ続けてることは、性格を変えることにもつながるでしょう。
トライ&エラーを繰り返して少しずつ変わろう
なるほど、演じることで性格が変化することもあるのか…! 楽観的な性格になるために、まず自罰的な思考を変えるようにしようかな。反省と自責は違うもんね。あとは、私が理想とするポジティブな人は、「ケセラセラ」っていつも笑顔でいるイメージだから、私も笑顔を心がけようと思う!
できることから少しずつ始めれば良いリンよ。もし心が疲れてしまったら、やり方か求めるものが違う可能性があるリン。その時はまた1から考え直せば良いリン。
著:ゆうきゆう『「なるほど!」とわかる マンガはじめての自分の心理学』2015年(西東社), DIAMOND online, 一般社団法人日本産業カウンセラー協会 働く人の心ラボ/ written by Cocology編集部 / image credit: depositphotos