つい他人の顔色をうかがってしまう心理と、そこから”解放”される方法


人の「顔色をうかがう」の意味
「顔色をうかがう」という言葉の意味を辞書で引いてみると、「相手の機嫌をうかがう。顔色を見る(※大辞林 第三版より)」と出てきます。
その言葉の通り、相手の機嫌に敏感になって、自分の意見や行動を変えることを指していますが、必要以上に相手の機嫌をうかがう人は、以下のような特徴があります。
- 自分で決めることに自信がない
- 誰かの意見がないと決められない
- 他人にどう見られているのか気になる
- 嫌われるのではないかとビクビクしている
大前提として、職場や家庭、友人関係などのコミュニケーションにおいて言葉や行動から相手の気持ちを察する力や、周囲への気遣いに長けていることは素晴らしいことです。
相手の気持ちを考えず自分の思ってることを言いたいままに言い、やりたいことだけをやっていたら、人間関係は壊れてしまうからです。
しかし、必要以上に相手の顔色をうかがうことは、自分の心に負担をかけてしまうので、注意が必要なのです。
顔色をうかがう人に起こるネガティブな影響
心に負担をかけることで引き起こされるネガティブな影響にはどんなものがあるのでしょうか? 詳しく解説していきます。
自分の本当の気持ちがわからなくなる
顔色をうかがっている時、人は価値観や判断基準を自分以外に置いています。親や兄弟姉妹、友人、上司や職場の先輩などが例に挙げられます。
自分以外の価値観を優先し続けていると、「相手がどう考えているか」もしくは「相手にどう思われているか」という基準で行動するようになるため、自分の本心が次第に失われていきます。
自分の本心がわからないと、自分に自信がなくなり、主体的な行動力が低下していきます。ランチに何を食べたいかといった日常的な選択の場面や、人生で大事な選択の場面でも、自分の本当の気持ちがわからなくなってしまう恐れがあります。
感情が爆発してしまう
自分以外の人に判断基準を起き、自分の中で賛同できていないにも関わらず相手に合わせ続けることは、自分の気持ちに蓋をして我慢すること。
心理カウンセラーの坂口千絵氏によると、「これ以上抱えきれない」というところまで我慢してしまうと、抑圧されていた感情が爆発してしまうそうです。
なぜ人の顔色を伺ってしまうのか?
人の顔色をうかがうのは、幼少期の環境が大きく影響している可能性があります。
例えば、父親がお酒に酔って暴力をふるっていた・母親が感情的になりやすかった・すぐ怒る支配的な親だった場合、「気分を害さないようにしなければ」「嫌われないようにしなければ」という気持ちが強くなり、親の顔色をうかがって育つようになります。
自分の本当の気持ちを隠し、親の顔色をうかがいながら育つことで「嫌われることへの恐怖心」を自分で植え付けてしまうのです。
あるいは、親がなんでもかんでも先回りして「あれをしなさい」「これはしちゃダメ」と用意していた場合、判断基準を自分以外に置きやすい傾向にあります。
顔色うかがいを改善する方法
幼少の頃から植え付けられた価値観が影響していることから、人の顔色をうかがうのを改善することは、すぐには難しいでしょう。ただ、顔色をうかがうストレスは心身を疲弊させていくため、少しずつでも改善していきたいものです。
以下では、顔色うかがいを改善する方法をご紹介します。できるものからチャレンジしてみてください。
ひとりになる時間を増やす
人の顔色をうかがう癖がついている人は、常に気を張っている状態です。心をゆるめてあげるためにも、まず人の顔色をうかがわなくても良い状況、つまりひとりになる時間を増やしてみてください。
自分の本心を探る
人に合わせてばかりいると、自分の本当の気持ちがわからなくなってしまいます。ひとりの時間を増やすことと並行して、自分の中のゆずれない価値観を探ってみましょう。
嫌われないようにふるまうのを辞める
幼少期にすぐ怒る支配的な親に育てられた子どもは、親から嫌われないように、見捨てられないように顔色を伺うようになります。
しかし、年齢を重ね大人になった今では、「すべての人に好かれる必要はない」「好かれなくても嫌われているわけではない」と理解することができるはずです。
自分を抑圧する言葉をやめる
相手の顔色をうかがう人は、人から意見を求められたとき「それでいいよ」という反応をしてしまうことがあります。これは「それがいい」と明言をするのを避け、「それでいい」と自分の欲求を抑えてしまう抑圧行動の一つです。
心から賛同している場合は別ですが、自分の中で意見が違う場合、自分を抑圧する言葉は少しずつ口に出さないようにしましょう。