自分を労り大切にする「セルフ・コンパッション」を高める5つの方法

心理学 2020/05/06
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ミスをしたときに「なんてダメなんだ」と自分を責めたり、頼まれごとをされて「嫌だな」と感じても笑顔で引き受けたりすることは、恐らく多くの人が経験しているのではないでしょうか

こういった時、人は他人以上に「自分に」思いやりを持てていない上に、自分の気持ちを無視している状態にあります。

心理学では、この自分への優しさや慈しみを「セルフ・コンパッション」と呼び、上記のような状態になる人はセルフ・コンパッションが低いと考えています。

今回は、セルフ・コンパッションの概念や高めることによって得られる効果、具体的に高める方法をご紹介します。

セルフ・コンパションとは「自分への思いやり」

「セルフ・コンパッション(self-compassion)」を直訳すると、自分への慈しみや思いやりという意味で、元々は仏教の概念です。

自分を労る気持ちが低いと自分の気持ちが認められないため、精神的に不安定な状態に陥ってしまいます。そして下記のような問題が引き起こされる可能性があります。

  • 自分の気持ちをコントロールできなくなる
  • 物事に対する責任感がなくなる
  • 目標を見失う
  • 少しのストレスで大きなダメージを受ける
  • 心の安息を得られず、疲れやすくなる
  • 周囲の人が近づきにくくなる
  • 元の平穏な状態に戻すために労力や時間がかかる

こうった状態では、仕事や学業に支障が出ることはもちろん、精神的に健全な状態で生活を送ることが難しくなってしまいます。セルフ・コンパッションを適度に高めることは、毎日を健やかに、そして幸せな人生を歩む上で必要不可欠なのです。

セルフ・コンパッションを高めると得られる効果

さまざまな研究によって、セルフ・コンパッションを高めることで以下のような効果が得られることがわかっています。

  • セルフ・コンパッションが高い人は、人生の満足度や幸福度が高い
  • セルフ・コンパッションが高い人ほど、肯定的で安定した自己像を持っている
  • セルフ・コンパッションが高い人は自律的で、学業でも課題を通して新しいことを学ぼうとする

精神的に辛い気持ちを抱えるときでも、鋭い言葉で責めずに自分自身と肯定的に関わることができるため、精神的に安定し成長の意欲も高まるのです。

セルフ・コンパッションを高める方法

それでは具体的に、どのようにしてセルフ・コンパッションを高めれば良いのでしょうか。セルフ・コンパッションを概念化したアメリカの心理学者クリスティーン・ネフ博士は、以下の5つのアクションを推奨しています。

1. 感謝する心を持つ

人は当たり前のように繰り返し行う小さなことに対して、感謝する気持ちを忘れてしまいがちです。

また、毎日のストレス、仕事、責任、家事や育児に圧倒され、自分自身・家族や友人など自分を心配してくれる人に感謝することを忘れてしまう人も多いでしょう。

皿洗いや洗濯などの毎日の面倒くさいタスクは、自分自身への感謝の気持ちを思い出すきっかけになります。そういった見逃してしまいがちな小さなことに注意を向けられるようになると、世界をより優しい目で見渡すことができるのです。

2. 自分自身に優しくなる

悩みを抱えた友人からアドバイスを求められたとき、できる限り適切な言葉を探して、誠実で優しい対応をしようとするはずです。しかし、アドバイスをする対象が自分自身になったとき、同じことができるでしょうか?

「そんなことでいちいち落ち込むべきじゃない」「そんなことで悩むなんてバカみたい」と鋭い言葉をかけるのではなく、周りの人を大切にするように、自分自身も優しく労ってあげましょう。

3. 自分を許す

上記の内容に似ていますが、誰かが自分に迷惑がかかるミスをした場合、その人にどのような言葉をかけるでしょうか?恐らく「これくらい大丈夫。心配しないで」「大したことじゃないよ」と優しい言葉をかけるはずです。

しかし、セルフ・コンパッションが低い人は同じように優しい言葉を自分自身にかけることが、なかなかできません。

まず、人間はミスをするものということを受け入れましょう。そして、ミスをしてしまった自分を許して、「ミスから今後の糧となるものを学ぼう」と前向きに捉えましょう。

4. 自分を苦しめる概念は捨て去る

日常的に自分自身に優しくなり許すことができれば、心にスペースを作って、自分を苦しめる概念を捨てることができるようになります。

具体的には「生産性は自分の価値を測る尺度である(生産性が高ければ価値がある)」といった一般論や、自分の中の「まだ足りない」「こんなんじゃ全然ダメだ」といった負の概念です。

人は生まれながらにして愛される価値や、人と繋がりを持つ価値を持っています。自分を追い込み、苦しめる概念は捨ててしまいましょう。

5. 心の休憩をする

人はずっと走りつづけることはできません。時には休憩も必要です。そんな時は、自分自身に「よくやった」「頑張ったね」「もう十分だよ」と言う許可を出してあげましょう。やり遂げたことに対して感謝するためにも、心の余裕が必要になります。

頑張った分だけ自分を休ませてあげることが大切。5分使って瞑想したり、深呼吸したり、好きな曲を聞いてリラックスしましょう。

自分を1番大切にできるのは自分

今回は、セルフ・コンパッションを高めることで得られる効果と、具体的なアクションを中心にご紹介しました。

自分を責めたり否定することに比べ、恥や苦しみといった感情とともに自分を肯定的に受け入れるのは難しいものです。しかし、唯一無二でかけがえのない存在である自分を1番大切にできるのは、間違いなく自分自身なのです。

セルフ・コンパッションが低いと感じている人は、ぜひご紹介した方法を試してみてください。自分が自分の味方でいられると、心強く感じられるはずです。

自己肯定感の低い人がやりがちな、心身を壊す自己肯定感の上げ方

reference: Psychology Today, 公益社団法人日本心理学会, 日本産業カウンセラー協会(1, 2)/ written by Cocology編集部

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