燃え尽き症候群にまつわる5つのウソ「休めば治る」
燃え尽き症候群とも呼ばれる”バーンアウト”について、皆さんはどういうイメージを持っていますか?
バーンアウトという言葉から私たちがイメージする印象と、実際の事実は異なっているかもしれません。
今回はバーンアウトに関する5つの嘘と真実について見ていきましょう。
1つ目の嘘:弱くてストレスに対処できないから、燃え尽きる
これはバーンアウトと聞くと、多くの方が「弱いから」「ストレスの対処が苦手」などとイメージするのではないでしょうか。
しかし、バーンアウトは、弱い人がストレスコーピングが出来ないためになるものではありません。
そのため、バーンアウトから回復したり、バーンアウトを防止したりするには、その人の弱さを直すのではなく、効果的なストレスの対処法を学ぶことが必要です。
例えば、自分の仕事がストレスフルで難解なものだと感じやすい人は、バーンアウトを経験しやすいと報告されているため、「自分の仕事の量は他者と同じくらいだ」と出来るだけ思うことが重要です。
さらに、バーンアウトは悪い側面に注目されがちですが、他の人を助けるという良い側面もあります。
UCLAのシェリーテイラー教授によると、私たちがストレスを感じると、脳から化学物質が放出され、それが私たちを結びつけるようになるといいます。
実際に研究によると、バーンアウトしていても、他人を助けたい、他者とつながりたいという私たちの意欲は低下せず、逆に利他的な行動が増えるといいます。
2つ目の嘘:燃え尽きると、仕事や人生を考え直さねばならない
バーンアウトをすると、仕事を辞めなければならないと恐怖を感じることもあるかもしれませんが、その必要はありません。
燃え尽きから回復するためには、仕事をただ辞めるのではなく、自分の時間やエネルギー量をきちんと把握し、環境調整を行うことが重要です。
燃え尽きを防ぐためには、ジョブ・クラフティングという考え方もいいかもしれません。
これは、働く人が主体的に仕事に新たな意味を見出したり、仕事内容の範囲を変えたりするという意味です。
自分の仕事に対する価値観や強み、情熱を生かして、同僚との関係や仕事内容を変えるだけで十分です。
3つ目の嘘:バーンアウトは秘密にすべきもの
燃え尽きるというのは、弱いことだと考えられやすいため、バーンアウトしたことを他人に話すのが憚られることもあります。
しかし、バーンアウトを隠しているつもりでも、欠席や遅刻の増加や居眠りから周りに気づかれている場合もあります。
バーンアウトは恥ずべきことではなく、誰にでも起こりうる症状です。
燃え尽き症候群かなと思った時には、上司に相談してみてください。それが難しい時には、友人や先生、医療機関の専門家でも構いません。
4つ目の嘘:休みを取ることで、バーンアウトは治る
日々のストレスとバーンアウトとの違いの理解不足から、休みを取ればバーンアウトは治ると信じている方が多いです。
症状が重くなる前に休憩を挟めば、バーンアウトを軽くできると思ってしまうのです。
しかし、研究によると、休暇を取ってもバーンアウトは消えないとのこと。
休暇を取っている間は、一時的に燃え尽きは弱まりますが、復帰して1〜2週間後には元の状態に戻ってしまうというのです。
5つ目の嘘:燃え尽きとうつ状態は同じ
燃え尽き症候群とうつ病は、やや混同されがちです。
実際の研究によると、燃え尽き症候群の約20パーセントは、うつ病の初期段階と考えられ、逆にうつ病の約20パーセントはバーンアウトの結果だといいます。
だからといって、燃え尽き症候群とうつ病が同じなのではなく、残りの80パーセントは別の要因が関係しているのです。
燃え尽きたからといって、必ずしもうつ状態だとは限らず、パニック発作などの別の心や身体の病気が併発することも多いです。
燃え尽き症候群に対して、私たちは多くの誤解を抱いています。
バーンアウトに対する誤解を解き、適切な方法によってバーンアウトから回復できるといいですね。