自分の感覚が分からなくなる「解離性障害」の原因と治療法は?
解離性障害とは?
解離性障害とはどういう病気なのでしょうか。
私たちは記憶や意識、知覚、アイデンティティを一つにまとめています。
しかし、その感覚をまとめる能力が失われた状態が解離性障害。
以前は、ヒステリーと呼ばれていたものです。
症状
解離性障害にかかると、以下のような症状があらわれます。
- 突然ショックな記憶や感情が現実のように蘇る
- 離れた場所から自分の身体を見ているように感じる
- 周囲が非現実的で夢の中にいるように感じる
解離性障害は、解離性健忘と解離性遁走、解離性同一性障害、離人症性障害に分けられます。
自分に起こったことの記憶をなくす解離性健忘。自分が誰かという感覚を失う解離性遁走。
複数の人格を持ち、それらが交代して現れる解離性同一性障害。自分を外から眺めているように感じる離人症性障害。
離人感や白昼夢など、誰にでも見られる解離現象もあります。
原因
ではなぜ、解離性障害は発症するのでしょうか。
発症原因として考えられるのが、小児期に体験した心的外傷です。
特に、学校でのいじめや暴言や暴行などの虐待、食事などを与えないネグレクトなどのトラウマは発症のリスクを高めます。
さらに一見、問題なさそうな過保護的、支配的な家庭環境によるストレスも、解離性障害の原因となるとのこと。
解離性障害になる人の多くが、若い時期に強い精神的ストレスを受けているとされています。
罹患率
解離性障害の有病率は、一般人口の2~6%。男女差はほぼみられず、青年期後期か成人期に発症することが多いです。
突然症状が現れる場合もあれば、徐々に現れる場合もあり、症状は一時的なこともあれば、慢性的に続くこともあります。
治療法
解離性障害には、どのような治療法が効果的でしょうか。
解離性障害は心的外傷との関連が強いことから、主に心理療法を用います。
現在も暴力に脅かされている環境にいる患者さんは、危ない環境から脱出し、安全を確保することが第一です。その上で心理療法を行っていきましょう。
患者さんの感じている感情や考えは、実際の患者さんとはかけ離れていたり、不合理であったりすることも。
患者さんの感じていることを素直に話し合い、患者さんとセラピストとの信頼関係を築くことが心理療法での目標です。
それ以外にも、筋肉の緊張をほぐす筋弛緩法などのリラクゼーション法を用いることによって、不安や緊張を緩和することも大切です。
解離性障害の患者さんに対して、抗うつ剤などの投与が試みられることがありますが、すべての患者さんに有効であるとはいえません。さらに、解離性障害に対し医療保険が適応される治療薬はありません。
つまり解離性障害には、心理療法が最も効果的と考えられますね。
まとめ
自分という存在感覚を失ってしまう、解離性障害。
この解離性障害は、大きな心理的ストレスを経験したことのある方なら誰でもかかりうる病気です。
しかしながら、適切な治療によって治りうる病気であるのも事実です。
知り合いに解離性障害にかかった人がいたら、安全な場所を提供するとい気遣いが必要です。