「なぜか急に涙が出る…」適応障害の原因と治療法
「最近、なぜか急に涙が出る」「不安感やだるさが続き、仕事に行くのが辛い」
精神的に不安定さは、「甘え」と捉えられてしまうこともありそうですよね。
しかし、精神的な不安定さは、もしかしたら適応障害の症状かもしれません。
この適応障害とはどういった病気なのでしょうか。
今回、適応障害について説明します。
適応障害とは?
新しい環境に足を踏み入れるときには、誰しも不安や緊張を感じるもの。
しかし、ストレスがあまりにも大きくなってしまったらどうでしょう。ストレスに対処できず、精神的不安定な状態が続くかもしれません。
大きなストレスに自分自身で対処できずに、不安感や抑うつ気分が続くのが適応障害。
甘えといわれることもある適応障害ですが、患者さんは症状が長引くと、重症化することも。
患者さんは病気の認識を持ち、治療を行うことが重要です。
症状
適応障害に罹ると、過度に心配したり、気持ちが落ち込んでしまったり、意欲が低下してしまったりします。
さらに、イライラしたり、涙もろくなったり、学校や仕事に行けなくなったりすることもあります。
適応障害が長引くと、うつ病を引き起こしてしまう可能性があります。
そのため、適応障害は、うつ病の一歩手前と考えられる場合もあります。
うつ病と異なるのは、適応障害の症状が、環境の変化と関連があることや、ストレスがなくなると症状の回復が見られること。
いずれにしても、軽度のうつ状態が見られるのが適応障害です。
原因
なぜ、適応障害は発症するのでしょうか。
私たちの日常生活では、ストレスを引き起こすような変化が多く生じます。
日常的なストレスは、借金などの金銭的問題や、離婚などを含む人間関係の問題、身体的・精神的な病気などです。
さらには、進学や就職、結婚などの人生の岐路。新しい生活に適応していかなければならない状況では、一見、喜ばしい出来事でも、ストレスが発生します。
しかし、ストレスがあまりにも大きすぎて、環境に適応することができなかった場合、適応障害が発症するといわれています。
疾患率
適応障害には、どのくらいの方が罹るのでしょうか。調査によると、人口の1%が疾患するといわれます。
女性の方が、男性よりも、疾患率がおよそ2倍も高いとのこと。特に独身女性に、発症リスクが高いといわれています。小児期や青年期では、男女の疾患率の差はほぼみられません。
治療法
適応障害の治療として効果的なのは、ストレスの原因の除去です。
暴力をふるう恋人がストレスなら、少し彼から離れてみたり、他の人に相談してみてたりすること。
職場環境に問題があるのなら、信頼できる同僚や上司に相談してみること。それでもストレスが除去できないのなら、思い切って仕事を変えてみるのもいいかもしれません。
もちろん、適応障害の患者さんの考え方に問題があるということもあります。
そんなときには、患者さんの考え方や行動を変えるため認知行動療法を行っていきましょう。
ストレスをどのように受け止めるかは、人それぞれ異なります。認知行動療法を行うことで、認知や行動の歪みを調整し、偏ったものの受け取り方を変化させていきましょう。
それに加え、不安や不眠に対して用いられるベンゾジアゼピン系の薬や、うつ状態に使われる抗うつ薬を投与する薬物療法も効果があります。
しかし、適応障害の薬物療法は、「症状の治療として薬を使う」という対症療法。つまり、根本的な治療にはなりません。
薬物療法だけではうまくいかないことが多いため、ストレス原因の特定やカウンセリングが重要です。
まとめ
適応障害は、対処しきれないほどに、ストレスが大きくなると罹ってしまう病気です。
患者さんが弱いから、甘えているから適応障害になるわけではありません。
一見、喜ばしいことが原因にもなり得るのです。
つまり、ポジティブなことでも、私たちは新しい出来事でストレスを感じやすい傾向があるのです。
適応障害に罹ったら、自分では気づかなかったストレスと向き合うことで、ストレスへの対処法を学んでいくことが重要です。