思いやりのある子に育てるための「感情コーチング」とは?
子どもにはいつも楽しく幸せでいてほしい…。親は誰しもそう願うものです。
そのためには、人生の中で経験する悲しみ・苦しみ・恐怖といったネガティブな感情と上手に付き合い、困難を切り抜けられるようになる必要があります。
ネガティブ感情は避けるよりも上手に扱うべきだという考えのもと、発達心理学者は親に「感情コーチング」を推奨しています。
この記事では感情コーチングとは、そのメリット、感情コーチングのやり方を詳しくご紹介します。
感情コーチングは感情的知能・社会的知能を高める
感情コーチングとは、心理学者ジョン・ゴットマンによって作られ、子どもの感情的知能を高めるために有効なテクニックです。
感情的知能が高い人は、自分や他人の感情を正確に感じ取り認識することができる・感情を活用して考えたり課題解決することができる・自分や他人の感情をコントロールすることができるといったスキルが備わっています。
ある研究によると、感情コーチングを使って育てられた4〜5才の子どもたちはストレスのかかるタスクを粘り強く前向きに取り組むことができ、また、問題を広い視野で見て解決するのが得意ということがわかりました。
ネガティブ感情を避けるように育てられたら
「それくらい平気なはずよ」「そんなに怒ることじゃないでしょう」「大げさだなぁ。心配しすぎ!」
このようにネガティブな感情を無視、あるいは否定するように育てられた子どもは、「自分が感じている感情はいけないものだ」と考え、感情を抑圧したり無視するようになります。
他人の感情も受け入れられないようになり、傷ついた友達や怒っている兄弟、落ち込んでいる同僚に対して「それくらい乗り越えられるでしょう」と期待するようになってしまいます。
感情コーチングのやり方
それでは、感情コーチングとは具体的にどのようなテクニックなのでしょうか? 5つのステップに分けて解説します。
1. 子どもの感情に気づく
最初のステップは、子どもの感情に敏感になり、気がつけるようになることです。子どもの声のトーン・表情・ボディランゲージを参考に「今子どもはどんな気持ちなのか」を考えます。
2. 子どもが感情表現する瞬間を認識する
悲しみ・苦しみ・痛み・怒りなど強い感情を抱くときは、子どもが感情の扱い方を最も学べる機会です。この瞬間を見逃さないようにしましょう。
3. 共感しながら耳を傾け、子どもの感情を確認する
強い感情を落ち着かせる方法は「その感情は人に話し、認められていいものだ」と伝えることです。子どもの目を見て状況を理解し、子どもにとってその感情がどれくらい深刻なのかを把握します。
次に、子どもの感情に寄り添うために個人が抱いた感情を伝えます。例えば「私もね、好きなお菓子がなくなったときすごく嫌な気持ちになるよ」と伝えてみるのです。
共感してくれたことに対して、子どもは「自分が抱いた気持ちは些細なことではなく重要なことだと思ってもらえている」と認識し、どのように感情をコントロールし表現すればいいのかを学ぼうとしてくれます。
4. 子どもが言葉で感情を分類するのを手伝う
自分が抱いている感情を言葉で表現したり分類できると、上手にコントロールできるようになります。本やテレビなどを使って他人の感情がどういったものか説明してあげましょう。具体的には、表現や姿勢、声のトーンなど感情の手がかりとなるものを示してあげます。
5. 子どもの問題解決をサポートする
どんな感情も受け入れられ、認められるべきです。
ただし、感情と行動は別物。子どもは、怒り・悲しみ・苛立ちといったネガティブな感情を表現するために物を投げたり、人を傷つける行動を取ることがありますが、それはいけないことだと伝えましょう。この時、子どもの感情を丁寧に聞いてあげることがポイントです。
子どもは自分の感情を話して受け入れてもらえたら、過ちを正そうと心を開いてくれます。その後、あなたの気持ちを伝えましょう。
完璧な親はいないし、正しい教育もない
育児や教育は体力的にも精神的にも負担が大きいものです。毎日やることに追われ心に余裕がない中で、完璧な親や正しい教育を目指そうとすると必要以上に自分を追い込んでしまいます。
この記事では感情コーチングについてご紹介しましたが、ご自身がやれる、もしくはやってみたいと思うテクニックを色々と試してみてくださいね。