カサンドラ症候群とは?アスペルガー症候群のパートナーとの接し方や対処法

心理学 2020/02/01

「夫が自分の話に共感してくれず、孤独感を感じる」「相手がマイルールを譲らない」―

長い時間を共に過ごすパートナーですが、こうした気持ちを抱いたり、上手くコミュニケーションが取れなかったりすることは、大きなストレスになります。

辛い現状から、闇雲にパートナーを責めてしまう人もいるかもしれません。

しかしこのような感情を頻繁に抱く原因として、パートナーがアスペルガー症候群である可能性があるのです。

アスペルガー症候群を持つパートナーと一緒に過ごす中で、上記のようなストレスを抱えすぎて、心身に不調をきたすことを「カサンドラ症候群」と言います。

この記事では、カサンドラ症候群について、アスペルガー症候群のパートナーとの接し方、そして対処法について詳しくご紹介します。

カサンドラ症候群とは

カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群のパートナーや家族と暮らしていく中で、心身に不調が現れる障害のことです。

「カサンドラ」という名前は、ギリシア神話に登場する王女カサンドラが由来。カサンドラは予知能力がありながら、誰にも信じてもらえないという呪いをかけられていました。

このカサンドラのように、アスペルガー症候群のパートナーを持つ人も、その辛い状況を周囲に説明してもなかなか理解してもらえないことが多くあります。

アスペルガー症候群の有病率は、男女比がおよそ8:1と男性が圧倒的。よって、カサンドラ症候群になるのも、そのパートナーである女性が多い傾向にあるようです。

また、結婚後に妊娠・出産を経て、子どもの進路や両親の介護など、真剣に話し合うべき問題に直面した際、コミュニケーションに違和感を覚え発覚するケースも多くあります。

カサンドラ症候群チェックリスト

パートナーの行動が理解できなく苦しむ、周囲に相談しても理解されない、パートナーに対して言葉や感情で伝えても一向に理解されない、といった「カサンドラ状態」を過ぎると、カサンドラ症候群の症状が現れ始めます。

下記は、カサンドラ症候群の症状の一部です。まず身体的症状が現れ、その後に精神的な症状が現れます。ご自身あるいはご友人・ご家族の心身の状態と照らし合わせてチェックしてみてください。

身体的症状

  • 不眠
  • 頭痛
  • 胃痛
  • 疲れやすい
  • 突然涙が出る
  • 動悸がする

精神的症状

  • 抑うつ状態
  • 無力感
  • 自己否定
  • 孤立感や孤独感がある
  • パニック障害(不安障害)
  • 情緒不安定になる

当てはまる数が多いほどカサンドラ症候群の可能性が高いです。

アスペルガー症候群を持つパートナーとの接し方

アスペルガー症候群のパートナーとは具体的にどのように接すれば良いのでしょうか?以下では、アスペルガー症候群の主な症状とそれに対する接し方をご紹介します。

伝えたいことを絞りストレートに伝える

アスペルガー症候群の人は、想像力を働かせることが苦手です。そのため、相手の言葉をそのまま受け取ったり、会話中に話題が次々に変わっていくと何を情報として受け取れば良いのかわからなくなってしまいます。

こういう時は、意図を汲み取ろうとしてもらうことは避け、例えば「紙に書いた物だけを買ってきてほしい」と簡潔かつ具体的に伝えてみてください。

紙に書き出したり動画を使って説明する

2つ以上のことを同時に理解することが苦手という点もアスペルガー症候群の特徴です。

例えば、「お風呂のお湯を見てきて」と頼んだとすると、湯船に溜まっていくお湯を眺めて帰ってくるということになります。【お湯の量を確認する】【お湯が溢れそうだったら止める】という2つのことを頼まれたということが理解できないのです。

アスペルガー症候群の人は視覚的に捉えると理解しやすい特性を持っているため、紙に丁寧に書き出したり、動画を観せると効果的です。

お金の使い方にルールを設ける

アスペルガー症候群の人はお金の感覚が独特で、極端な倹約家と浪費家の二面を併せ持っています。損得勘定で物事を判断するため、人から感謝されないお金は出す必要がない・結果が見えないものに価値はないと感じるのです。

例えば、子どもの塾代や習い事など不確定要素にはお金を出すことを渋ります。しかし、高価な指輪やブランド品をプレゼントすることで自分の評価が上がるとわかるものには惜しみなくお金を出します。

そういった時は家庭でお金の使い方にルールを決めましょう。「1万円以上の出費は相談してから決める」といったように明確な数字を用いることが大切です。

また、ファイナンシャルプランナーに入ってもらい、生活費や教育費など必要経費を数字で説明してもらってパートナーに納得してもらうのも有効な方法です。

「パートナーのため」と我慢せず「自分のため」「2人のため」と考えるようにする

アスペルガー症候群の特性に合わせてコミュニケーションの方法や考え方を変えることはとても大変なことです。家事や仕事、育児が重なって大きな重圧になる上に、パートナーに思いが伝わらず、一緒に暮らしているのに孤独を感じる人がたくさんいます。

発達障害であるからといって「自分がサポートしなくては」「自分が我慢しなければ」と考えないでください。パートナーのためにあなた一人が頑張る必要はありません。「自分の生活のため」「2人の生活のため」と考え直してみましょう。

カサンドラ症候群の対処法

苦しい現状を少しずつでも好転させるために、カサンドラ症候群になってしまった人ができる対処法をご紹介します。

自助グループを活用してみる

「病院に行くのはハードルが高いな」と感じる人は、まず自助グループを活用するのがおすすめです。同じ境遇を持った人たちと共感し合うことで、「誰からも理解されない」という孤独感を和らげることができます。

専門クリニックで相談してみる

カサンドラ症候群は不眠や不安障害、抑うつ状態など精神的な症状も出てきてしまいます。こういった症状に対して、抗うつ剤や抗不安剤などの薬物治療を行うことが可能です。

根本的な解決にはなりませんが、精神を安定させることは、前向きに治療していく上でとても大切です。

カウンセリングを受診してみる

カサンドラ症候群について知識のあるカウンセラーに現在の状態を相談してみてください。まずは傷ついた心を癒やしてあなた自身を取り戻していきましょう。

また、カサンドラ症候群は夫婦の問題なのでパートナーにもカウンセリングを受けてもらうことが理想です。

第三者からのアドバイスの方が受け入れやすいことも多くあります。相手がどんな気持ちになっているかを共感することは苦手でも、それを理解しようと態度で示すことが大切であると説明してもらうのです。

夫婦の形を変えてみる

心身が回復してきたら、今後のことを少しずつ考えていきましょう。どういった夫婦の形が最も良いのか、子育てや体調、経済的な問題などいろいろな要素を含めて考えてみてください。

一緒に暮らしていく・家庭内別居・別居・離婚など様々な夫婦の形があります。一時的でも心や物理的な距離をとるということは立派な選択肢の1つ。心や頭を落ち着けることができるはずです。

もし「別居や離婚は恥ずかしいもの」「子育てのために夫婦は一緒にいるべきだ」という価値観に縛られているとしたら、少し緩めて視野を広げてから考えてみてください。

アスペルガー症候群を持つパートナー、カサンドラ症候群のあなた、どちらも悪くない

想像力の欠如や相手の気持ちに共感することが苦手ということは障害であり、悪意があるわけではありません。アスペルガー症候群の人の思考回路を理解することが難しいように、彼らも相手の思考回路を理解することが難しいのです。

この記事でご紹介した接し方や対処法が全てではなく、またご自身の問題に当てはまらないかもしれません。

カサンドラ状態にある、あるいはカサンドラ症候群の症状が出ていると少しでも感じたら、すぐに専門クリニックやカウンセリングを受診することを強くおすすめします。

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