デマと分かった後も信じられている「学び方」の神話8つ

ライフハック 2020/01/27

世の中には、科学的に誤っていることが証明されたのに、いまだに多くの人に信じられている神話が数多く存在します。

「賢い」はずの人たちですら、事実を受け入れようとしない理由はさまざまです。文化的背景、個人的な経験、証拠を調べる能力または意志の欠如、群集心理などは、これらの理由の一部でしょう。

また、自分の考えを変えるだけの説得力のある理由がない場合や、誤った情報を信じ続けた結果に起きるかもしれないリスクに気づけない場合にも、人は誤った情報に固執しがちです。

今回は、組織の業績、思考、意思決定、知能、動機といった教育や学習の分野でよくテーマとして取り上げられる事柄に関する神話を8つご紹介します。

1. 人にはそもそもやる気がない

動機に関する神話としてもっとも一般的なものは、「人はそもそもやる気がない生き物だ」という認識です。

他者がやる気に欠けていると感じる時、私たちは自分自身の個人的価値に有利になるよう、自己判断を下しています。つまり、相手を「やる気がない」と判断することで、自らが掲げる目標や理想に照らしてその人物が心理学的に劣っているという評価を下しているのです。

ですが、実際にはもともとやる気のない人など存在しません。人の動機は、その時の物事やタイミングに応じて引き出され、文脈・社会的状況・タスクによって変化するものなのです。

2. 意志の力には限界がある

科学者は長年、人の意志には限界があり、そのことが自制心に作用すると固く信じてきました。ダイエットに挑む人が、せっかく何週間にもわたって大好きな甘いものを絶ったというのに、途中でストレスを爆発させてドーナツを1箱丸ごと平らげてしまうことがその良い例です。

ところが、近年の研究で実はそうとも言えないことがわかってきました。自分は自制心が強いと自覚している被験者グループと、自分は意志が弱いと思い込んでいるグループに、IQテストの問題を解かせたところ、前者の方が成績が良かったのです。

精神的に追い詰められた時でも、自分の意志は強いと脳に思い込ませることで、望む結果を手に入れやすくなるということですね。

3. マルチタスクは可能である

運転中ついスマホに目を遣ってしまうドライバーの耳には痛い話ですが、「パフォーマンスに影響を与えずにマルチタスクを行うことは可能だ」という説は、これまでどうやら誇張されすぎてきたようです。

認知タスクに取り組む際に発揮できる能力には限界があることが、科学的に証明されています。言い換えると、作業記憶力には限界があるため、複数のタスクを同時に行うことには制約が生じるということです。

たしかに、歯磨きをしながらその日に着る服装のことを考えたり、食事の準備をしながら子どもを叱ったりといった、自動化されたタスクは同時に処理できるかもしれません。でも、正確性や細やかさが要求される複数のタスクを同時に行うことはできませんし、するべきではありません。

4. 育て方は知能に影響する

Credit: Max Pixel

多くの人は、知能のような遺伝的に備わっている特性は育て方次第で修正可能だと信じたいでしょう。でも実際は、育て方によって獲得できる利点には限りがあります。

もちろん養育そのものは人の成長に欠かせませんが、それは能力の遺伝的変化を促進するほどの力を持つわけではないということです。能力や才能の5〜7割は、その種類に関係なく、純粋に遺伝子だけで決定します

最近の研究では、遺伝子が認知に与える影響が、より社会経済学的に有利な場合に最大化することが示されました。遺伝子と環境の相互作用を調べたところ、貧困の中で暮らす子どもたちは、たとえ手厚い養育とサポートを受けたとしても、遺伝的に不利益を被ることがわかったのです。

5. IQスコアには文化的偏りがある

IQテストで測ることができる能力は2種類です。このうち「流動性能力」は、問題解決能力・論理・パターン認識などの知能を指します。こうしたその時の状況に対処するためのスキルは、文化圏に関係なく一貫したものです。

これに対して「結晶性知能」は、教育や経験を通して獲得される文化的に固有な情報のこと。結晶性知能の測定とIQテストは、文化的に有効なテストが本来はらんでいる偏りを調整する目的で、多くの文化・言語圏に繰り返し適用されてきました。

その結果、一部の人々はIQテストが特定の人種や国籍に有利だと信じるようになりました。ですが、本当の問題は、テストそのものではなく、テストの成績全体を向上させるリソースにアクセスすることができるかどうかなのです。

6. 知能は劇的に向上する

知能のある特定の側面は改善することもありますが、具体的にどうすればそれが可能で、どの程度の改善が見込めるのかは、実のところよくわかっていません。少なくとも明らかなのは、人が予想以上のパフォーマンスを示せるからと言って、そのことはパフォーマンスが無制限に改善することを意味するわけではないということです。

知的成長の重要な条件の1つは、知能は変化しないという信仰を拒絶することです。また、改善しうる知能の側面には、処理速度・問題解決の手法・記憶力の向上が含まれます。これに対して、IQテストの結果全体や作業記憶力そのものが改善する確率はずっと低いと考えられています。

さらに注意すべきは、脳トレアプリが謳う効果です。この種のアプリで訓練可能なスキルは、決してIQテストの成績や特定の場面での問題解決能力に変換可能なものではありません。

7. ポジティブ思考で病気を治せる

不安やストレスは時に病気を招くと広く信じられています。そして、楽観主義が病気の予防や治癒に役立つと信じている人は少なくありません。

近年行われた調査で、うつと診断された患者のがん罹患リスクと、健全者のがん罹患リスクには、違いがないことがわかりました。

問題は、楽観主義と病気への抵抗力・回復力の結びつきを示そうとした研究の多くが、質の高い医療ケアが手に入ることの影響を反映しそこねていることです。医療ケアの選択肢に限りがある時、心の状態以外の因子が、抵抗力・回復力に影響している可能性は低くありません。

8. 能力は正確に測定できる

Credit: Max Pixel

私たちは、与えられた課題を自分の実際の能力に照らして測定することがかなり苦手です。実際よりも速く上手に物事を達成できると考えたり、いつも幸運に恵まれると思い込んだりするのが、人間というものです。

自らのスキルや能力に対する過信は、「空港までの道は渋滞していないだろう」「自分は他の人より有能だ」「ちょっと頑張れば、外国語を1つマスターするくらい容易いことだ」といった不正確な認識をしばしば生み出します。

能力の低い人物ほど自らの容姿や発言・行動などについて実際よりも高い評価を行ってしまうことを指す「ダニング=クルーガー効果」も、こうした過信によるものです。

心の知能指数【EQ】を養う5つのスキル「R.U.L.E.R.」とは?

reference: psychologytoday / written by Cocology編集部

SHARE