「自分の視線や表情が相手を不快にさせている」と感じるのは対人恐怖症かも?

人間関係の心理学 2020/01/18

「ジロジロ見ているのではと思われるのが怖い」「変な表情をしていないか気になる」「体が臭いと思われているかも」。そうした強い不安が続いたら、対人恐怖症かもしれません。

この記事では、対人恐怖症の原因や対人恐怖症の特徴、対人恐怖症の場合の仕事との付き合い方などについて解説します。

対人恐怖症とは

対人恐怖症は正式な疾患名ではありません。医学上では社交不安障害(SAD: Social Anxiety Disorder)に含まれると考えられ、自分の表情や視線、外見、体臭が人を不快にさせることを恐れている状態を指します。

ときには実際に相手が不快に思っているのかわからないにもかかわらず、「自分のせいで相手が嫌な思いをしているんだ」と思い込んでしまう場合もあるようです。

そうした、人と接する際の強い不安や恐怖を毎回感じることで、仕事の会議に出られない、教室に入れないなど生活に支障をきたすことも少なくありません。

対人恐怖症は10代〜30代の人に多いと言われています。

こんな場合は対人恐怖症かも

以下の状態に当てはまる場合、対人恐怖症の可能性があります。

  • 人との会話が怖い
  • 人前でひどく緊張する
  • 人前で顔が赤くなることが怖い
  • 人と視線を合わせることが怖い
  • 人前で体や声がふるえることが怖い
  • 自分の体臭が人に不快感を与えていないかひどく不安だ
  • 自分の容姿を醜いと感じている

このように「自分のふるまいが他人を不快にさせるのではないかと怖い」と感じる点が対人恐怖症の特徴です。

対人恐怖症の原因は?

対人恐怖症の原因には生育環境が関わっているとの指摘があります。親のしつけが厳しい、世間体などを重視する家庭で育った人に対人恐怖症の傾向が見られることが多いと考えられていますが、確かな原因はまだわかっていません。

「対人恐怖症は甘えだ」と周囲に言われ、自分を責めてしまう人も中にはいます。しかし、対人恐怖症は甘えによって起こるのではありません。過度に自分を責めず、対人恐怖症でつらいと感じるときには精神科・心療内科の医師やカウンセラーに相談することをおすすめします。

対人恐怖症と診断されたら

医師により対人恐怖症だと診断されると、認知行動療法や薬による治療などが行われます。対人恐怖症には認知行動療法が特に有効だと言われています。

認知行動療法は、考え方(認知)のバランスをとって気持ちを楽にする心理療法です。「人を不快にしているのではないか」との悲観的で偏った考えを現実的に捉え直すことで人と接する際の強い不安・恐怖を取り除いていきます。

認知行動療法は医師やカウンセラーなどの専門家のもとで行われるのが一般的ですが、一人で行うこともできます。一人で行う認知行動療法の本も売られているので、そうした本から認知行動療法に取り組んでみるのもよいでしょう。

対人恐怖症の人に向いている仕事は?

対人恐怖症は人によって症状がさまざまなため、一概にこの仕事が向いているとは言えません。きちんと治療を受けることで、一般の人と変わらずに仕事ができることもあります。

医師やカウンセラーなどと相談しながら職種や仕事内容を決めていくとよいでしょう。対人恐怖症の症状によって今の仕事をすることが難しい場合には、診断書をもらって仕事内容を変えてもらったり、休職したりといった対処法もあります。

対人恐怖症かもと思ったら無理せず相談を

対人恐怖症は生活に支障が出ることもあります。対人恐怖症の症状でつらいと感じることがあれば、無理せず早めに精神科・心療内科を受診する、カウンセリングを受けることをおすすめします。

対人恐怖症は適切な治療を受けることで改善できるものです。一人で抱え込まず、早めに専門家に相談しましょう。

不安と恐怖を克服するための4つのステップ

references:
・岡田 努「現代の大学生における「内省および友人関係のあり方」と「対人恐怖的心性」との関係」発達心理学研究 1993年,第4巻,第2号,p.162-170
・金井 嘉宏、他「社会不安障害傾向者と対人恐怖症傾向者における他者のあいまいな行動に対する解釈バイアス(原著)」行動療法研究,2007年,33巻,2号p.97-110
・清水 健司, 海塚 敏郎「青年期における対人恐怖心性と自己愛傾向の関連」教育心理学研究,2002年,50巻,1号 p.54-64
・岡田 尊司『子どもの「心の病」を知る: 児童期・青年期とどう向き合うか』(PHP研究所)
知られざる「視線の恐怖」 当事者たちの苦悩-NHK
社交不安障害-国立精神・神経医療研究センター
認知行動療法-国立精神・神経医療研究センター
written by Cocology編集部

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