「おひとりさま」は孤独じゃない。あなたを成長へ導く「孤独の条件」とは

「独りで過ごす時間が好き」。
こうした「おひとりさま」を好む人に、世間は「他人に不安を抱きポジティブな関係を築けない“孤独な人”」というレッテルを貼りがちです。
しかし最近では、学者たちの間で「ソリチュード」の価値が徐々に認められてきています。「ソリチュード」は「ロンリネス」と混同されがちですが、後者が「孤立」といった消極的状態である一方、前者はロンリーにならず独りで過ごす、つまり積極的かつ建設的に自分自身に働き掛ける状態を指すと考えられています。
こうした「ソリチュード」が今、創造性や自己洞察、自己啓発のほか、リラクゼーションやスピリチュアリティ―に有益と考えられるようになってきたのです。
独りで過ごすことがポジティブな体験と言えるかの決め手はまず、それを自ら「選択」したのかどうか。たとえ「選んだ」としても動機はさまざまで、精神衛生上ポジティブなものがある一方、懸念すべきものもあると指摘されています。
「おひとりさま」を14の動機で測定
「おひとりさま」を選ぶ動機の重要性を明らかにしようと、2人の社会科学者が調査を行いました。
高校生と大学生を対象に、「私が独りで時間を過ごす理由は◯◯のため」という例文と、「◯◯」部分に当てはめる14の動機を提示。参加者にそれぞれの重要度を評価させました。
動機には以下のポジティブ、ネガティブなものが入り混じっていました。
「独り」のポジティブな動機の例
- 静かな環境を好むため
- 本当に興味のある活動に専念できる
- 自分の感情に素直でいられる
「独り」のネガティブな動機の例
- 人といると不安になる
- 周りに人がいると自分らしくなれない
- 人と過ごすと自分の発言や行動を後悔することになる
さらに、ネガティブな動機が痛みを伴う体験に端を発するものか、懸念すべきかを調べるため、次の評価基準も設定されました。
・憂鬱(例:家族や友人のサポートにもかかわらずブルーな気分が抜けない)
・社会不安(例:よく知らない人と話すと恐れや不安を感じる)
一方、ポジティブな動機の評価基準は次のようなものでした。
・自己受容(例:自分の性格のほとんどの面が好き)
・自律性(例:自分自身に満足できることは他人に認められるよりも重要)
前向きな「おひとりさま」と「孤独」は無関係
この調査は決して、「憂鬱」=後ろ向きな動機の「おひとりさま」を選ぶ原因、などと結論付けてはいません。
ただ、ネガティブな動機では「孤独」や「憂鬱」をより多く体験しているケースが見られたほか、特に大学生については「社会不安」との結び付きも指摘されました。
一方、前向きな動機で「おひとりさま」を選んだ場合、「孤独」との相関性はほぼゼロに近いことが分かりました。さらに大学生では、ポジティブな動機に基づく「ソリチュード」に「憂鬱」や「社会不安」との関連性はなく、自己をより肯定し、時間をかけ成長しようとする傾向が認められたのです。
イギリスのある団体が行った調査では、効果的な休養方法の第3位に「独りで過ごすこと」が挙げられ、また別の報告では、「ソリチュード」が怒りや悲しみなど感情の起伏を調整し、真の自分を取り戻す鍵になると分析されています。
年末年始はご家族やご友人と賑やかに過ごされる方も多いでしょう。そんな中、「おひとりさま」の時間を持って心身の充電を図るというのも一策かもしれません。