勉強だって「感情」が大事。頭が良くなるカギは「感情的知性」だった

心理学 2019/12/20
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学業で成功を収める学生は、単にIQが高いだけではありません。彼らは他の学生と比べて、自分の感情を理解し、管理する能力に秀でていることが、最近の調査で明らかになりました。

調査結果を記した論文によると、感情的知性は、根性・勤勉さ・几帳面さといった認知と関係しないその他の因子と並んで学業に影響するのだそう。

感情的知性の高い学生は、試験中の不安や退屈を制御する能力が高く、社交上の問題に対処し、教師との関係を構築することができます。これらはどれも学問的成功を助けるスキルです。

感情的知性とは?

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20世紀までは、学問的成功へのカギはIQと注意力・集中力といった認知的因子だといわれてきました。ところがここ30年ほどで、感情を統制する能力や社会的能力などのいわゆる「ソフト・スキル」の役割に対する関心が高まっています。

感情的知性という言葉は1990年に心理学者のピーター・サロベイ氏らが考案したもので、「自分や他者の気持ちや感情を監視し、それらを識別し、その情報を使って自らの思考や行動を導き出すこと」を意味します。

以来、感情的知性を学校や社会における成功に関連付けた研究が次々と行われてきました。感情的知性に優れた人は、他の人と比べて仕事ができ、心身の健康状態も良好だということがわかってきたのです。

「頭」だけじゃダメ…ということですね。

今回の調査では、学問的成功において重要なのは、1位が「知能」、2位が「真面目さ」、次いで3位が「感情的知性」となっています。なお、年齢は関係ないとのこと。

感情的知性がもたらすアドバンテージとは?

研究チームによると、感情的知性には学問上のアドバンテージが主に3つあるのだとか。

1つ目は、不安・退屈・落胆といった感情を管理することで、学問的成功への順当な道筋から外れることが少なくなることです。つまり、たとえ試験のことが心配だったり、授業がつまらないと感じたり、期待通りの成績が取れなかったりしても、そうしたマイナスの感情を制御して、平常心・興味・自信を保つことができるということです。

2つ目は、教科書を含む教材の内容をより良く解釈できることです。特に、歴史や文学といった人文系の学問では、単に問題を解く能力だけでなく、内容から意味を汲み取る解釈能力が求められます。

3つ目は、クラスメートや教師といった他者の気持ちを理解する能力に優れていることです。他者の感情を推論できることは、良好な人間関係を構築・活用する上での助けになります。感情的知性に優れた学生は宿題についてわからないことがある時にクラスメートに尋ねることができますが、感情的知性に乏しい学生は誰かに質問するという社会的スキルを持ち合わせていない可能性があります。

さらに感情的知性は、ストレスへの対処、グループ学習への参加、親からの自立にも関係しているだけでなく、ネガティブなフィードバックを前向きに捉えることや、失敗から立ち上がることにも繋がっています。

学校教育における感情的知性の扱い方

最近日本では従来の大学入試センター試験への記述式問題の導入を巡る問題が取り沙汰されていますが、こうした大学入試のための統一テストを実施している国は少なくありません。どの国においても統一テストの重要性は極めて高く、一人の人間の生涯に大きく影響を与える「関門」として位置づけられています。

その一方で、学生の能力を総合的に把握するにはあまりにも狭い学問的尺度が用いられていることに、多くの専門家が警鐘を鳴らしています。

とはいえ、教員側は「統一テストの点数アップに直結するカリキュラムに集中しなければ」というプレッシャーに常に晒されており、こうした環境下では感情的知性などのソフト・スキルを磨くための授業はとかく時間の無駄だと受け止められがちです。

ですが、感情的知性を磨くことが私たちの想像以上に学力に直結しているという事実を踏まえれば、感情的知性の向上に特化したプログラムは時間の無駄どころか、むしろ効果的なブースターとして機能するかもしれません。

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それに、人は学生時代に学んだ授業や教科書の内容自体は忘れても、「学び方」は身に染み付いて消えないものです。

「問題にぶつかった時にどう対処したのか」「不安とどう向き合ったのか」「わからないことがあった時に周囲にどうやって助けを求めたのか」「困っているクラスメートをどうやって助けたのか」…。体験を通じて獲得した対処法は、社会に出てからもその人の生き方に直結します。その意味で、感情的知性を磨くことは、教科の成績を上げることよりも長期的な教育的効果が期待できます

しかし感情的知性を評価することは、気持ちや感情といった内面的特性に優劣をつけることとイコールです。感情的知性そのものを評価する試験の実施や、その結果を用いた成績や合否の判定に関しては、かなり慎重になるべきでしょう。

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reference: inverse / written by Cocology編集部

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