「愛されている」と日々実感することが心の健康に繋がることを示した調査

心理学 2019/12/09
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「自分が愛されている」と日常的に実感することが、その人の心の健康に関係していることが、科学的に示されました。ここで言う愛とは、恋愛というより、家族や友人、隣人との心の繋がりのことです。

誰かと心が繋がっているという感覚は日常生活の端々で感じるもので、恋愛よりも広い概念です。たとえば、ご近所さんと立ち話をしている時、自分の最近の心身の調子について尋ねられたとします。相手の心遣いにあなたの心は共鳴し、自分が気にかけてもらえていること・愛されていることを実感するでしょう。

研究を行ったのは、ペンシルバニア州立大学のInstitute for Computational and Data Sciences(ICDS)の研究者が率いるチームです。論文は、雑誌「Personality and Individual Differences」に掲載されています。

「愛されている」と感じやすい人ほど心の健康度が高い

研究チームは、スマートフォンの技術を用いた調査を2つ実施しました。1つは年齢層の異なる52名の被験者を対象にしたもので、もう1つは160名の大学生を対象にしたものでした。4週間にわたって、一日に6回、愛されているという実感と幸福感を尋ねるメッセージが送られてくるというものでした。

調査のポイントは、メッセージをランダムに配信したことでした。もし被験者が一日の決まった時間にメッセージを受け取ったとしたら、あらかじめメッセージを期待して、その期待に沿って誤った反応を示す恐れがあるからです。

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こうして収集した大量のデータにはいわゆる「ノイズ」と呼ばれる数値の変動が含まれていたため、研究チームは統計学のツールの1つであるベイズ方程式確率微分方程式モデルを用いてこれらのノイズを排除し、その水面下で起きているプロセスを特定しました。

その結果、日常生活の中で他者からの愛情や他者との繋がりを頻繁に感じる人は、そうでない人と比べて、幸福感が著しく高い、つまり「生きがいを持っている」「前向きである」といった特徴を示すことが明らかになりました。それだけでなく、前者の社交性が高いのに対し、後者には神経症的傾向が見られました。

愛されていることに気づくことで愛情への感受性そのものがアップ

研究チームによると、愛されていると感じることと心の健康の間に相関が見られたとはいえ、その因果関係を証明するには、さらなる調査が必要とのこと。それが証明できれば、「個人のスマホに定期的にリマインダーを送信し、その時感じられる愛情に注意を向けるよう促すことで、その人の幸福感を高める」といった介入が可能になります。

事実、研究チームは、被験者が愛されているという実感の基準値が調査期間を通じて上昇したことを、もう1つの発見として報告しています。これは、他者からの愛情や他者との繋がりに気づくようメッセージによって促されたことで、被験者の愛されていることを知覚する能力が徐々に上昇したということです。

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マインドフルネスを取り扱う多くの書籍にも、ポジティブな物事に注意を集中することで、ポジティブな物事を知覚する能力がアップすると謳われています。それと同じで、日常生活の中で周囲から受けているささやかな愛情に注意を向けるだけで、自分がどれほどの愛情を享受しているかに気づきやすくなるということです。

「自分は愛されていない」「自分は不幸だ」と感じる要因は、実際に愛されているかどうかというよりも、本人の愛情を察知する能力の不足の方にあるのかもしれません。自分が日々受け取っている愛情にまずは自分から気づくこと。それこそが、愛情不足に効く一番の薬ということでしょう。

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reference: psu / written by shinri編集部

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