不安と恐怖を克服するための4つのステップ

「お金がない」「恋人ができない」「学校の先輩、会社の上司が恐い」
日常の中には、不安や恐怖を抱くシーンがたくさんあります。解決しないまま放っておくと、やるべき課題に集中できなくなったり、ストレスも溜まる一方です。
そんな不安や恐怖心を克服する効果的な方法としてあげられるのが、「系統的脱感作」という行動療法です。
一言で言えば、リラックスした状態で不安や恐怖対象と向かい合い、克服していくという方法です。その具体的な方法について、見ていきましょう。
「系統的脱感作」ってなに?
見慣れぬ漢字ばかり並んでいますが、名前を気にする必要はありません。
この方法は、「リラクゼーション」と「不安・恐怖の対象への段階的な対面」を組み合わせたものです。「段階的」というのは、不安・恐怖の対象を自ら分析し、その度合いに合わせて階層化することから来ています。
つまり、不安や恐怖に自分でレベルをつけて、その低いものから対面していくのです。
この方法は4つのステップからなります。
4つのステップ
1.リラクゼーション

不安や恐怖と直面する前に、心身ともに完全にリラックスした状態をつくります。具体的なリラックス方法は以下の4つ。
1つ目は「横隔膜呼吸」と呼ばれる方法です。鼻からゆっくり息を吸い、2秒間息を止めて、ゆっくりと口から吐き出します。この呼吸法は短時間でリラックス効果や集中力を高めるのに最適です。
2つ目は「イメージング法」です。目を閉じて、自分の好きな風景を思い描いてみましょう。具体的な色や音、香りまで想像を膨らませてください。自分だけでは難しければ、誰かにイメージを説明してもらい、それを忠実に再現するのもオッケーです。
3つ目は「筋肉弛緩法」です。全身の筋肉を一時的にこわばらせ、少し維持してから一気に緩めます。これを数セット行うだけでかまいません。この方法は、不安や恐怖を感じている時の身体状況と緊張が解けた時の状況を理解するのに役立ちます。
4つ目は「瞑想・マインドフルネス」を習得することです。これらは、過去や未来についての雑念から離れて、今この瞬間に集中する力を養います。
2.リストを作成する

リラック法について十分に理解したら、次は「自分が不安・恐怖を抱くモノ」を順にリストアップしていきます。ここでは、不安と恐怖を抱くものはどんな細かいものでもすべて書き出すことが重要です。
まずは乗り越えるべき相手を知ることが、克服への第一歩となります。
3.不安・恐怖を評価づけ(レーティング)する

リストアップした後は、それぞれの項目に抱く不安や恐怖レベルを10段階で評価します。
例えば、実際のクモが怖いなら10、写真や動画なら7、クモについて話すだけなら5というような感じです。この作業が、いわゆる不安や恐怖の「段階化」に当たります。
レーティングは、不安や恐怖に直面するための最終段階です。
4.不安・恐怖の対象と対面する

いよいよ、不安や恐怖を抱くモノと対面していきます。
対面する前には、自分がリラックスした状態にあることを確認しておきましょう。それから、評価レベルの低いものから順に対面していきます。
対面したら、まず自分が抱いている不安や恐怖について声に出して話してください。
「なぜそれが怖いのか」「どこが不安を抱かせるポイントか」「不安や恐怖はどのくらい続いたのか」
こうした自己分析は、不安や恐怖を実際よりも小さなものとして捉えるのに役立ちます。すると徐々に、不安や恐怖に心がコントロールされないことを実感するようになるでしょう。
実際に効果が現れるまでは少し時間が必要ですが、方法は簡単なのですぐにでも実践できます。これは使えそうだと思ったら、ぜひ試してみてください。