心の知能指数【EQ】を養う5つのスキル「R.U.L.E.R.」とは?

心理学 2019/11/13
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「元気?」と聞かれると、反射的に「元気だよ!」と答えてしまう人は多いのではないでしょうか?

実際のところ、私たちはいつも元気なわけではないし、むしろ元気ではないことのほうが多いかもしれません。なのに私たちは、自分の感情について語ることをついつい避けてしまいがちです。

しかし、自分の本当の感情は、意外と深く行動に影響を与えてしまいます。そのため感情に対して「腫れ物に触る」ような態度で接していては、逆にその奴隷となってしまう可能性があるのです。

自分の感情を理解し、コントロールできる能力は心理学の世界ではしばしば「心の知能指数(EQ)」と呼ばれています。

幸運にも、私たちはこのEQをトレーニングによって成長させることができます。Yale Center for Emotional Intelligenceの設立者である心理学者マーク・ブラケット教授は、EQ開発のための「R.U.L.E.R.」と呼ばれるシステムを提唱した人物です。

このシステムは世界中の学校およそ2000校で用いられており、子どもたちが感情に関わる能力を伸ばすために利用されてきました。

しかし、これは大人になった私たちにも有効なもので、EQを伸ばし続けることで感情のコントロールなどの大きなアドバンテージが得られます。ここにその「5つのスキル」を紹介していくので、ぜひ実践してみましょう。

R:Recognize(認識)

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感情をマネジメントするための最初のステップは、それを正しく認識すること。簡単なことのように思えるかもしれませんが、これは感情を無視することと同じくらい難しいものです。

感情を認識するために、ブラケット教授は「ムードメーター」として知られるテクニックを推奨しています。

  1. この感情にはどれほどのエネルギーがあるのか?
  2. この感情はどれほどポジティブなものか?

この質問によって、まずは感情を4つに分けましょう。つまり、エネルギーが高くてポジティブ、エネルギーは高いけどポジティブではない、エネルギーは低いけどポジティブ、エネルギーが低くポジティブでもないといった4つです。

このカテゴライズが上手になれば、私たちは感情を正しく認識できるようになり、その対処方法の基礎を築くことができます。

U:Understand(理解)

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次は感情の「理解」についてのスキルです。これも「認識」と同様、自分自身に質問を投げかけます。

その質問の基礎は「なぜ今このような感情を抱えているのか?」とったものですが、これに答えるのは簡単ではないため、ブラケット教授はさらに細分化した以下のような質問を提唱しています。

  1. 今何が起こったか? その出来事が起こる前には何をしていたか?
  2. 今朝あるいは昨晩起こった出来事が、今の感情にどのような影響を与えているか?
  3. 今の感情を引き起こす記憶にはどのようなシチュエーション、あるいはどのような場所のものがあるか?

感情の原因の理解は、その対処に大きなヒントを与えてくれます。あなたが上司からの命令にネガティブな感情を抱いているとして、その理由が「上司が嫌いな人に似ている」場合と「命令自体が不合理」な場合では対処方法がまったく異なります。

もちろん「両方」というパターンも考えられますが、いずれにせよなぜ今の感情が湧き上がってきたのかを理解するために、しっかりと自分と向き合う時間が必要となるでしょう。

L:Label(ラベリング)

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感情を正しく認識し、理解できたとしてもそれだけでは不十分です。その感情にふさわしい「名前」を付けてあげる作業にも大きな意味があります。

多くの人は感情を表現するためのボキャブラリーをわずかしか持っていません。「良い」と「悪い」の2つしか持っていない人もいれば、「喜・怒・哀・楽」の4つという人もいるでしょう。

実際には感情を示す言葉は山のようにあります。もちろんそのすべてを記憶する必要があるわけではありません。しかし、より詳細に感情を表現することは、私たちにメリットをもたらしてくれます。

ブラケット教授は神経科学や脳内イメージングの研究から、「if you can name it, you can tame it.(名付けることができれば、飼いならすことができる)」が疑いようのない真実であることを主張しています。

たとえば同じネガティブな感情でも、「ストレスを受ける」ことと「圧倒される」ことは違います。ストレスを感じていれば、新たなスキルを学ぶなど何らかの込み入ったアプローチが必要になるかもしれませんが、圧倒されているだけであれば、単に原因となる出来事の量を減らすだけで解決につながる可能性があるのです。

E:Express(表現)

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「R.U.L.E.R.」の前者3つが「感情について知ること」だとすれば、ここからは「実践」に入ります。

私たちは様々な理由をつけて、感情表現を避けてしまいがちです。特に感情がネガティブな方向に振れているとき、そうした気持ちを表現するのは恥ずかしく、聞いている相手にも悪い影響を与えると思ってしまいます。

しかしブラケット教授は、「傷ついた感情は、自然に消えてはいきません。自己治癒能力を持っていないのです。もし私たちが感情を表現しなければ、それらは負債のように積み重なり、いずれ限界を迎えてしまうでしょう」と感情表現の重要性について語っています。

とはいえここでは、心のうちをすべて乱暴に吐き出すことを推奨しているわけではありません。ブラケット教授は、感情表現のスキルは時と場合を考慮して柔軟に扱う必要があると主張しています。

たとえばあなたが上司からの言葉によって傷ついたなら、同じような経験をした友人や同僚にその感情を告げたほうがいいでしょう。

上司に直接伝えるといった方法も考えられますが、それによって仕事を失う可能性があるのならば、冷静になって沈黙を守るか、感情を告げる相手を他に探したほうがいいのかもしれません。

R:Regulate(統制)

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最後のスキルは、私たちがどのような方法を用いて感情に対処するのかを決定するプロセスに関わるものです。

表現しようがしまいが、感情は私たちの行動に大きな影響を与えます。そのため、感情を統制することは個人的な目標の達成や仕事において大きな意味を持つものです。少なくとも、それらの妨げになるような感情は避けなければなりません。

しかし前述したように、ただ感情を「無視」するだけではうまくいきません。その代わり、感情を受け入れ賢く対処する方法を学ばなければならないのです。

方法は無限大にあるため、私たちはその中から自分に合ったものを選び取る必要があります。たとえば怒りの感情を鎮められないときは、Youtubeでリラクゼーション映像を鑑賞してみたり、マインドフルネスをおこなってみたりして、効果を試してみるといいでしょう。また、運動にも気持ちを落ち着かせる効果があると言われています。

よりシンプルな方法で感情統制を実現できる場合もあります。ブラケット教授いわく、「耐えられないほど嫌いな友人がいる? ならばその人を避けてください。両親が訪ねてくるけど、これ以上自分の奇抜なアート作品をみられたくない? 両親が帰るまで隠しておいてください。疲れを感じている? 顔を洗いましょう」。

つまり大事なのは、自分の感情にフタをするのではなく、しっかりと向き合って対処のための生産的な行動を取るということなのです。

感情は私たちの「敵」ではありません。正しいアプローチをおこない、寄り添うことができればきっと「親友」になってくれるはずです。まずは感情について知ろうと努力して、仲良くなることから始めてみましょう。

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reference: psychologytoday, journals.sagepub.com/ written by なかしー

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